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1月の鉱工業生産の急減を考える

 2018年1月の鉱工業生産(季節調整値、速報)は17年12月の106.5から99.5、前月比6.6%減と急減した。ところが、経済産業省が製造工業生産予測指数が2月に持ち直しているため、一時的要因として生産の基調に大きな変化はないと発表しているのを受けて、ほとんどのマスコミは平静である。行政が発表に当たって、平静を装うのは通常で、実態を検討する必要がある。

 図に見るように5月にも鉱工業生産は大きく落ち込んでおり、一時的に急減することはあるが、この時は3.6%減である。過去には東日本大震災時に2桁台の前月比減少を記録したことがあるが、6.6%減は滅多にない減少幅である。景気の基調が変化する可能性を検討する必要がある。

 1月に鉱工業生産が大きく落ち込んだ主因として輸送機械工業の大幅減少が挙げられている。自動車主体の輸送機械は鉱工業の19.1%の比重があり、これが1月に前月比14.1%も減少し、これだけで鉱工業を2.7ポイント、減少幅の4割も占めている。業種別では同様に、はん用・生産用・業務用機械7.8%減、電子部品・デバイス6.3%減、電気機械7.9%減と、日本経済を支えてきた機械・電気・電子関連業種が軒並み急落である。

 在庫水準は高くはなく、これらの減少要因はまだ不明だが、例えば、自動車は主力の米国市場がもともとローン金利の影響を受けやすく、金利引き上げは需要のマイナス要因になる。金利引き上げ当初は金利引き上げが続く過程での駆け込み需要が発生する。結果として、初期には金利引き上げの影響は小さくても、いずれは効いてくる。かつ、今回はリーマンショックで落ち込み後の需要回復が一巡する時期に当たり、米国での自動車需要見通しは厳しくなる。ただし、日本の輸出統計で1月段階では乗用車輸出に顕著な変化は見られない。2月以降が注目される。

 今後に関しては、足元の2、3月は製造工業生産予測調査が参考になる。これによると、2月は1月の反動もあって前月比9.0%増になり、3月は同2.7%減だが、この2月の急回復を経産省が大きく基調変化が生じているわけではないとする論拠になっている。業種別では輸送機械が同13.6%増に留まり、高い伸びでも12月水準を回復しない予測になっている。一方、はん用・生産用・業務用機械12.2%増、電子部品・デバイス16.0%増、電気機械9.9%増と、いずれも12月水準を回復する予測である。

 これらの数字をみる限り、悲観的になる必要はないが、最近の予測指数は下方修正傾向にある。例えば、1月の鉱工業生産指数発表時に公表された12月調査の1月予測指数は4.3減と大きく減少する見込だったが、実績はそれをも上回る減少幅になった。また、2月予測指数は12月調査の5.7%増から、1月調査は9.0増と伸び率を高めているように見える。しかし、それは1月の実績が低くなったためで、12月調査予測値からは0.7%減と小幅ながら生産水準としては下方修正である。

 それでも2月実績は1月の生産水準が下がったため、下方修正であっても伸び率が高くなるのは確実である。この間の鉱工業生産の推移は12月が2.9%増であり、1月の大幅減少、2月の急回復予測からは小幅に見えても、2.9%増は高い伸びになる。つまり、この間の変動は大幅過ぎる。

 一般的に景気が回復、上昇期には、事前予測を実績が上回る上方修正、頭打ちから下降期には、その逆の下方修正になるのが通例であった。ところが、最近は長期的に景気上昇が続いているにも拘わらず、予測値の伸びを実績が下方修正になることが多い。要因としては、現状の生産水準が低いため、予測調査に対して期待値として高めの数値を回答する傾向にある。または、明るい雰囲気作りを求められていると感じ、それに応えるために高い回答をしていることが考えられる。

 これらの事情があったとしても、生産活動は設備や人員を変動し難いため、コストから考えれば、安定的生産が基本になる。1月に急減させ、2月の実績はまだ不明だが、急回復というのは異常と言える。

 これから考えると、マスコミを通して景気は良いという意見が流され、明るい雰囲気作りがなされている。足元は危うい状態が続いており、1月の鉱工業生産はその実態を垣間見せたとみることもできる。もちろん、数か月すれば、1月の数字も忘れられるような着実な回復基調にある可能性もあるが、楽観しないほうが良いのではないか。

鉱工業生産指数と輸送機械工業生産指数の推移

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| 2018年03月08日 | 景気 | comments(0) | - |
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