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鉱工業生産指数の基準改定で景気のピークは2007年10月か08年2月か不透明に

 前回の4月1日付けの経済レポートで景気のピークは2007年10月の可能性が高いとしたが、2月の鉱工業生産指数の速報値の発表後、2月の確報値発表時に基準年が改定になった。鉱工業生産指数は基準年を100とした指数であり、基準年は5年毎に改定される。今までは2000年=100とする指数であったが、今回、05年=100とする指数に改定された。また、指数の構成を出荷額から原材料費を除いた付加価値額ベースと生産額ベースの両方があるが、通常は付加価値額ベースが使われ、ここでも付加価値ベースによっている。

 単に00年の付加価値額構成を05年に組み直しただけでなく、採用される品目も組み換えられた。時代と共に需要が低水準になった品目は廃止され、新しく成長してきた品目が採用される。今回は新規採用が34品目、廃止品目が71と廃止品目の方が多くなり、生産指数では輸出が伸びている輸送機械工業と輸出が伸びるのに加えて価格が上昇している鉄鋼業などが比重を高め、生産量は伸びても価格低下が進む電子部品・デバイス工業、不振の窯業・土石工業と繊維工業などが低下している。


 この結果、08年2月の鉱工業生産指数が大幅に変わったことで、景気のピークも微妙な影響がでている。前回のこのレポートでは、07年10月の112.2がピークで、10月に近い12月の112.0が季節調整値の改訂で上回ることになるかもしれないと書いた。今回の基準値の改定では10月は110.0になったが、12月は109.1でむしろ格差は拡大している。07年中でみれば、10月がピークであることには変わりはない。


 ところが、08年2月が108.2から110.2へと大幅に上方改定になり、07年10月を上回ってしまった。前基準の2月は速報値であり、確報値で上方修正になるのは特別なことではないが、他の月が基準値改定で下方改定されている中での上方改定であり、目立っている。また、2月は旧基準の速報値に加えて新基準の速報値も発表されている。旧基準の前月比は1.2%減であるのに対し、新基準は同0.9%増と逆転し、さらに確報では1.6%増と上方修正になったことで、07年10月を上回った。基準年の変更だけでは理解しにくい変更である。


 08年3月の速報値は3.1%減の大幅マイナスで、4月の製造工業生産予測値は0.3減になるが、5月予測値は3.4%増と盛り返すとなっている。この予測値に近い値で実現すれば、5月は2月に近い数値になり、2月がピークになるかどうかは不明になる。現実には、景気の下降局面では、予測値を実現値が下回ることが多く、3月の実現率も1.2%の下方修正で、2月時点から3月時点の4月の予測修正率も0.3%の下方修正である。


 つまり、前回の経済レポートで書いたように鉱工業生産指数は下降に向かっていると推測されるが、今回は2月がピークになる可能性が高い。2月を景気のピークとされるかもしれないが、今回は2月が閏年という特殊性がある。経済活動を単純に1日分、つまり例年との比較で28分の1、約3%も水ぶくれしているとみることはできないが、07年10月の110.0に対し、2月の110.2は0.2%上回るだけであり、閏年効果を除けば実質的には10月が2月を上回っていると判断できる。このような閏月と景気のピークが重なるようなことは過去無かった。景気の基準の判定は内閣府が行うが、景気が下降に向かっていることが確認された時に、10月と2月のどちらを採用するか注目を集めることになろう。役所の体質から考えれば、2月を採用すると推測される。


 また、在庫指数が旧指数では07年11月の99.4をピークに微減傾向であったのが、新指数では11月の105.8がピークでも、その後は105.5前後の推移で、微減傾向とはいえない。それでも、やや高止まり傾向になっている程度で、生産は在庫の影響よりも最終需要の動向で決まる環境にあることに変わりはなく、景気は下降に向かっていると考えられる。


鉱工業生産・在庫指数(季節調整済指数)の推移



※第1回から第10回までの内容をPDFファイルしたレポートも提供中です。
 PDFファイルにて経済レポートを入手した方は、こちらをどうぞ。



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| 2008年05月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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