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春闘を迎えて - 個人消費に期待

 2007年10〜12月期の実質GDP成長率の1次速報が前期比0.9%増、年率で3.7%増と比較的高い成長率になった。その中身をみると、相変わらず輸出・民間設備投資主導の成長で、民間最終消費は0.2%増の底這い傾向が続いている。今年も春闘の時期を迎えているが、昨年、御手洗経団連会長が賃上げ容認のような発言をしたことから、08年の賃上げ率が高まる期待がでてきたが、春闘期になってそのような雰囲気は全くない。


 労働側の要求額が昨年より上回っていても、要求の上積みは少額でしかない。一方、企業側は米国の景況変化、為替レートの円高など昨秋頃から収益悪化要因が出てきたため、賃上げへの姿勢は厳しくなる状況にある。すでに、各景気指標では企業収益の伸びの頭打ちを示している。もともと、企業はバブル崩壊以降、企業収益が改善した場合、賃金のベースになる基本賃金を値上げするよりも、一時金を増やすことで対応するとしてる。ところが、一時金の伸びが高まったといっても、今回の景気回復局面において、主要企業(従業者数1,000人以上)で最も高かった05年年末でも5.4%でしかない。

 かつて、賃上げが高かった時、一時金は据え置きだったわけではなく、基本賃金も一時金も増えていた。もともと、一時金は基本賃金の何カ月分プラス一定金額という形が一般的であるため、基本賃金が上がれば、一時金も上がる構造になっている。


 最近の賃上げ額を厚生労働省調査の従業者数100人以上企業の加重平均でみると、03年の金額3,064円、伸び率1.0%を底に、景気回復による企業収益の改善で拡大してきているが、それから4年経った07年になっても、金額4,378円、伸び率1.7%でしかない。99年から9年連続で1%台賃上げである。近年の賃上げ動向からみれば、労働側がストの実力行使も含めて予想以上に努力しても、2%台に乗ることは至難の業であろう。

 一方、08年度においては、消費者物価上昇率が今までのようなマイナスかゼロのデフレ状態が続くと予想する人はいない。1月1日付けのこのレポートで、各予測機関の景気見通しを取り上げた。これらの08年度消費者物価上昇率予測はいずれも0.3〜0.5%増と安定が続くとしているが、これらの上昇率は低過ぎると考えられる。


 為替レートが大幅に円高になるという事態は別として、1ドル=100円前後の円高程度であれば、食料品価格の上昇で1%台の上昇になると予想される。エンゲル係数を持ち出すまでもなく、支出に占める食料品の消費額割合は相対的に所得水準の低い人で高いことを考えれば、国民大多数の現実の物価上昇は消費者物価以上になる。とすれば、08年春闘が少なくとも2%以上にならなければ、1%台の賃上げでは、企業収益の頭打ちから一時金の伸びも高まらないこともあり、収入は実質マイナスになる。


 これは春闘で賃金が上がる労働者、つまり正社員である。ところが、07年まで賃上げが少なくとも1%以上あり、一時金も春闘の伸びを上回っているにも拘わらず、1人当たり現金給与総額(従業者数30人以上企業)の伸び率は1%を下回り、07年は3年振りの0.3%減のマイナスになっている。賃上げと現金給与総額とは調査対象企業の規模は異なるが、伸び率では大差ないと推測される。


 それよりも、賃上げと現金給与総額との格差の理由は、低賃金のパート、アルバイト、派遣労働、期間労働などの非正規雇用労働者が増えていることにある。つまり、春闘による賃上げや一時金を受けることのできない非正規雇用が増えている限り、賃上げで景気回復は期待できない。もちろん、賃上げ自体が低ければ、正社員の支出も増えない。


 逆にいえば、収入の伸びが低くても、個人消費支出はプラス成長が続いていることは評価すべきかもしれない。世帯数が増えていることに加え、消費支出を下げることは生活水準の切り下げを意味し、なかなか引き下げられないことが要因としてあげられる。一方で、労働者全体の収入は一人当たり所得に労働者数を掛け合わせたものになり、一人当たりでは増えなくても、労働者数が増えれば、総収入は増えるという要因もある。


 もちろん、1人当たり給与が増えないような状態で、個人消費が穏やかでも牽引する着実な景気回復・上昇は期待できない。課題は、春闘賃上げよりも非正規雇用者を正社員化することの方ではないか。正社員になれば給与が増え、首切りの不安も少しは解消するからである。


春闘賃上げと1人当たり現金給与総額の推移



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| 2008年03月01日 | 雇用 | comments(0) | - |
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