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景気転換の可能性

 07年夏以降の景気指標が昨年秋頃から発表され、多くの指標で景気上昇の持続に黄信号を点灯し始めた。現状は下降に転じたということではないが、景気上昇期間の記録を更新した今回の上昇も終焉の可能性が出てきた。景気指標の中で、企業調査では日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」の業況判断DIが注目を集めることが多い。

 同じ四半期毎の調査で、ほぼ同時期に発表される財務省「法人企業統計調査」は、マスコミではGDP統計の民間設備投資の推計資料として使われる設備投資が取り上げられる程度である。しかし、法人企業統計では4半期ベースの財務データが集計されており、企業経営から景気の実態がよく分かる資料である。今回は法人企業統計の売上高と営業利益の推移から景気動向をみてみる。
 前年同期比の伸び率で、全産業の売上高は2007年4〜6月期3.3%増、7〜9月期2.0%増となった。それまでは伸びが鈍化しても、翌期には回復し、鈍化は1四半期時的減少に留まっていた。今回はそれは2四半期連続で続き、また、7〜9月期の2%台は04年1〜3月期の2.4%増以来の低い伸び率である。


 製造業の売上高の伸びは7〜9月期までの推移で特に変化はないのに対し、非製造業が4〜6月期1.8%増、7〜9月期0.5%減とほぼ前年並みにまで下降した影響が大きい。好調を持続している製造業と不振に陥った非製造業の格差は、内需が低迷している一方で、輸出が伸びていることが原因として挙げられる。輸出は製造業の比重が高いためである。


 一方、全産業の営業利益の4〜6月期は8.3%増とまだ伸び率鈍化には至っていなかったが、7〜9月期は0.1%増に低下した。7〜9月期は前年水準が高かった反動が含まれるとしても、低下していることは否めない。営業利益に関しては製造業、非製造業のいずれも同様で、製造業は売上は増えていても、一部産業で原材料費の上昇分を十分価格転嫁できなかったためである。内需が弱含みになれば、価格転嫁は難しくなる。


 法人企業統計以外の指標でも07年度上期に景気の変調がみられていることから、これが景気後退にまで悪化するかどうかに注目が集まる。


 前回のレポートで紹介した各予測機関の08年度経済予測では後退はないということであった。ところが、予想以上に米国のサブプライムローン問題の深刻さが明らかになり、また、ドル不振から為替レートが円高、これは対ユーロでも同様である。予測機関は金融関連のところが多いため、当然、実態を予測することは可能であったと推測される。いずれにしても、好況といわれた輸出産業にも打撃を与えることで、もともと高くもない春闘相場へも波及することは避けられない。現在、景気に明るい材料は見あたらない。


 日本経済は明らかに成長鈍化傾向にあるが、景気が転換するかどうかはまだ不明である。景気循環(短期の循環)は在庫循環による生産調整が生じるかどうかで決まる。このため、景気下降が穏やかで、予期しない在庫の積み上がりが大きくならず、穏やかな生産調整で済んでしまえば、景気後退と判断されない可能性もある。具体的には、鉱工業生産指数で1四半期か四半期の小幅減産程度であれば、景気後退とみなされない。


 その場合の日本経済は、内需は建築基準法改正による反動増以外に盛り返す条件に乏しいため、相変わらず輸出期待になる。輸出増加傾向の持続は、米国経済悪化の影響がアジアやヨーロッパの経済に大きな打撃にならずに済み、日本の輸出が少なくとも安定した伸びを持続することが条件になる。その可能性は少ないのではないか。米国株の暴落でアジアやヨーロッパの株価が下落しているのは米国経済の影響が大きいことを示している。結局、日本の輸出は伸びが鈍化することで、景気転換は避けられないと予想される。



売上高・営業利益の前年比伸び率の推移




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| 2008年02月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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