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米経済成長の鈍化の日本経済への影響

 米連邦準備委員会(FRB)が11月20日に2010年までの米経済成長率を発表した。この中で、08年の実質GDP成長率は1.8〜2.5%増とし、07年の同成長率見込みの2.4〜2.5%増より若干低下する見通しとなっている。日本の対米輸出は既に通関統計の数量ベースで3月から前年水準を下回っており、このFRBの見通しを前提にすれば、対米輸出の回復は遅れることになる。ただし、対米輸出の減少は日本の輸出市場に占める米国の比率が低下していることに加え、中国を中心とするアジアやEU向けの輸出が伸び、輸出全体としては拡大が続いている。

 日本経済はバブル崩壊による低迷後、日本経済は90年代中頃には回復傾向にあったが、実質GDP成長率は97年度に前年度横這い、98年度は0.8%減とマイナス成長に陥ってしまった。一方、米国経済は90年代は順調に成長を続け、日本経済は米国経済と連動する傾向にある中で、90年代後半は好対照の推移になった。

 日本経済回復の腰が折れたのは、当時の橋本内閣が97年4月から消費税をそれまでの3%から5%への引き上げたのをはじめ、97年度に財政再建を目的として国民への公的負担を増加させたためである。これで回復し始めた個人消費を冷やすことになり、2年間の経済回復の中断になった。

 そして、日本経済は99年度から輸出主導で回復し、99年度0.7%増、00年度2.6%増になった。ところが、01年度は0.8%減になり、景気回復は短命で終わってしまった。ただし、このときは米国経済も00年の3.7%増から、01年は0.8%増と成長が中断しており、日米経済は同調した動きになった。

 経済成長率の鈍化は米国でITバブルが崩壊したためで、米国経済の影響で日本の輸出が減少したことにある。その後、米国経済が持ち直したことで、日本の輸出が回復し、米国経済の成長に伴って日本経済もいざなぎ景気を抜いて戦後最長の景気上昇期間を記録している。いずれにしても主役は米国である。

 現在、米国経済は住宅バブルの崩壊による信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で経済成長率は下降傾向にあり、FRBの経済成長率見通しもそれを反映している。米国ではGDPの中で個人消費が7割も占めており、個人消費が不振になれば、打撃は大きい。景気下降期の経済見通しは後追い的になり勝ちで、今回も前回7月時点の2.5〜2.75%増から下方修正になっている。

 日本経済も07年度の成長率は06年度の2.0%増を下回る可能性が強いが、輸出は全体としてはまだ減少に向かっているわけではない。原因は個人消費や住宅投資の個人部門が弱いことにある。今後の輸出は、米国経済の影響を日本の輸出を牽引しているアジア経済がどの程度受けるかによる。当然、アジア経済にも徐々に広まってくることが予想され、日本経済は現在、米国経済の影響が軽微でも楽観はできない。07年度下期から08年度の日本経済は徐々に厳しくなると予想される。

 また、為替レートも無視できないが、今までが円安過ぎたわけで、最近の1ドル=110円前後であれば、輸出産業の収益は別として、ほとんど影響はないと考えられる。本格的な影響は100円を超えるようになってからになる。

 例年、11月末頃から各民間調査機関から08年度の経済予測が発表されるが、今回はサブプライムローンの影響の判断、為替レートも含めて輸出の見通しが1つのポイントになる。



日米の実質GDP成長率の推移





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| 2007年12月01日 | 政策 | comments(0) | - |
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