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地方間で広がる工業集積格差

 この5月1日付け経済レポートで、経済産業省「工場立地動向調査」(敷地面積1,000岼幣紊旅場と研究所)の新規立地が関東内陸・臨海、東海、近畿内陸・臨海の大都市圏に回帰していることを書いた。ただし、工業生産力は新規立地に既存の立地分を合わせたものであるため、新規立地だけでは工業が大都市圏に再集積しているとはいえないことも指摘した。


 工業集積・生産力を何で判断するかは問題で、〇業所(工場)の数では工場規模が反映されない、⊇抄伴埒瑤任郎廼瓩里茲Δ忘鏝困進み、変化の大きい時代には判断を誤る、出荷額では物価(価格)変動の影響を受ける、などの問題がある。このため、ここでは生産活動が行われる工場の敷地面積や延べ建築面積で地域別の比較を行う。


工場敷地面積・延べ建築面積の推移



 2005年版の経済産業省「工業統計表」(用地・用水編)が公表された。用地・用水編は従業者30人以上の工場が対象になっており、小零細企業が除かれるが、工業規模を地域別に比較すのに問題はない。これによると、敷地面積や延べ建築面積はバブル崩壊後も一進一退はあるが、基調としては増え続けてきた。ピークは、敷地面積は96年の14億8,090万屐延べ建築面積は2年遅れの98年の5億1,865万屬任△襦


 また、ボトムは景気回復から遅れ、敷地面積は04年の13億9,707万屐延べ建築面積は1年早い03年の5億230万屬如△海隆屬慮詐幅はそれぞれ5.7%、3.1%である。用地・用水編の調査対象企業数は91年の6万1,669から4万5,971へと25.4%もの減少していることから比較すれば、大したことはない。それだけ規模の小さい企業が減少したことになる。もちろん、企業(工場)は存在していても、従業員の削減により、29人以下になって調査対象から外れた企業も当然、存在すると推測される。


 まず、工場の敷地面積の05年は14億102万屐▲椒肇爐料闇比0.3.%増と僅かの増加でしかなく、ピークの96年比では5.4%減である。96年と05年の地域別に比較すると、四国が僅かに増えてるだけで、他はいずれも減少している。減少幅が大きいのは関東臨海11.9%減、山陰11.5%減、近畿臨海9.5%減、北海道9.2%減などで、古くからの工業地帯である関東と近畿の臨海部と工業集積の少ない山陰、北海道が減少しているのが特徴といえる。


 関東と近畿の臨海は相対的に工場立地件数の回復が顕著である。その裏側で敷地が減少していることは、大規模工場が縮小、または閉鎖された跡地に立地している推測される。逆にいえば、関東、近畿の臨海地域に空き地があれば、立地したいという企業が少なくないといえる。


 また、実際に生産活動と直接的に結びつく延べ建築面積の05年は5億822万屬如∩闇比1.0%増、ボトムの03年比では1.2%増だが、ピークの98年比では2.0%減に留まる。敷地面積と比較すれば減少幅が少ない要因としては、仝採矛弍弔嚢場の建物はそのままで、将来のために確保していた土地を削減した、土地の有効利用で建物を高層化(通常は工場では2〜3階建てが多い)した、産業構造の変化で工場を高層化できる電子・電気機械系の産業が相対的に比重を高めた、ことなどが挙げられる。


 地域別では、北・南東北、関東内陸、東海、近畿内陸、北・南九州が増え、その他の地域は減少している。関東と近畿は内陸と臨海を合わせれば、いずれも減少になり、工業集積型が高まっているとはいえない。三大都市圏では東海が増えているだけである。


 一方、地方で北海道、山陰、山陽、四国は減少しいる。このなかで、比較的早期から工業集積が進んできた山陽以外は、1950年代後半以降の高度成長期以来、進んできた工業の地方分散に乗り遅れた地域である。日本の経済成長がもう少し長期にわたって続いていれば、これらの地域にも工業の地域分散の恩恵が及んだかもしれない。しかし、この統計でみる限り、取り残された地域ということができる。もちろん、地域経済の発展は工業だけによるものではないが、現実には工業が経済発展の有力な方法であることは否定できない。


 この間、工業集積が進んできた東北、九州などは比較的工業の落ち込みが軽微であり、延べ建築面積でみた地方での工業格差が拡大の方向にあるといえる。ただし、東北、九州などは軽微でも減少しているわけで、地方では工業の衰退を他の産業で補うのは難しいため、大都市圏と地方との地域間経済格差拡大の要因の一つになる。福田新政権は地域間経済格差対策を主要課題にしていることから考えれば、再度、工業の地域分散政策が問われるのではないか。


地域別工場敷地面積・延べ建築面積比較





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| 2007年11月01日 | 所得 | comments(0) | - |
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