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経済成長は成長率よりも内容

2007年4〜6月期の実質GDP成長率(一次速報値)が前期比0.1%増、年率で0.5%増と、1〜3月期の前期比0.8%増から急ブレーキが掛かった形になった。輸出の伸びは鈍化し、個人消費が振るわず、民間住宅が減少に向かう中で、民間設備投資が支えてようやくプラス成長を維持した。これを一時的な減少とみるか、この傾向が続くとみるかで日本経済の見通しは正反対になる。現状は前者の方が多数派であろうが、多数派だから正しいわけではない。


 GDPの1四半期の動きで一喜一憂しても意味がない。基調としての日本経済全体の動向が問題で、それは年度のGDPからみた方が分かり易いこともある。4〜6月期のGDP統計の発表時に06年度の確報値も発表され、06年度の実質GDP成長率は2.1%成長になった。06年末に各機関から発表された07年度の経済見通しでは、06年度の実績見込みが1.8〜2.0%成長であったので、予想よりほんの僅か良かったことになる。
 今回の景気回復過程の実質経済成長率は01年度のマイナス成長から、02年度は輸出が急増することで1.1%のプラス成長になった。その後、03年度2.1%、04年度2.0%、05年度2.4%と続き、06年度まで4年連続の2%台成長を続けていることになる。これからみれば、06年度の2.1%成長は悪い数字ではない。


 しかし、その内容は輸出が02〜04年度の10%前後の伸びから、06年度は8.2%増へと伸び率の鈍化傾向がみられ、07年4〜6月期もその傾向が続いていることになる。また、民間最終消費は03年度0.6%増、04年度1.3%増、05年度1.9%増と低い伸びでも拡大していたのが、06年度は0.7%増に留まった。


 これに対し、民間企業設備は03〜05年度の6%前後の伸びから、06年度は8.0%増に高まった。ただし、これだけでは国内需要全体の成長率は高まらない。国内需要の伸びは02年度0.3%増、03年度1.3%増、04年度1.5%増、05年度1.9%増と着実に膨らんできたのが、06年度は1.3%増と03年度の増加率まで戻ってしまった。


 加えて、06年度は輸出の伸びも低下しているにも拘わらず、2%台の成長が維持できたのは輸入の伸びが低下したためである。輸入は需要の海外への流出になるため、GDPでは控除、つまり、マイナスの項目になり、輸入の縮小はGDPにはプラスに働く。結局、輸出の伸びが低下しても、輸入がそれ以上に縮小すれば、輸出から輸入を引いた純輸出は膨らむ。


 純輸出はプラス(輸出額が輸入額を上回る)になることも、マイナス(プラスの逆)になることもあるため、伸び率ではなく、GDPの伸び率にどれだけ寄与しているかをみる寄与率で図られる。純輸出の寄与率は03年度の0.8%から04年度と05年度に0.5%に下がったが、06年度は0.8%に戻し、内需の低下を補った。


 輸入は国内景気による需要と為替レートによる海外製品の輸入価格の影響を受けるが、06年度は為替レートの円安と民間最終消費の不振の両方の抑制効果があった。これからみれば、06年度も2%台成長になったといっても、その内容は評価できない。


 07年度に関しては、06年末に各機関から発表された07年度の経済見通しの前提として、米国の住宅バブル崩壊の影響は小さく、輸出の伸びは鈍化しても大きくは低下しないという判断が多かった。今のところ、住宅バブル崩壊の影響力のがどの程度になるかは不明である。しかし、日本のバブル崩壊の例でも明らかなように、バブル崩壊の影響を軽微に考えがちであり、楽観しない方がよいだろう。そのうえ、為替レートが円高騰までには至らなくても、円安の終了で純輸出の寄与度に期待はできなくなっている。


 また、民間最終消費に関しては06年度の低迷から、07年4〜6月期は不振だったのに加え、年金不安が強まっている問題がある。春闘賃上げは終了したが、それに関係しないパート、アルバイトなどの賃上げの可能性は残っている。これが無ければ、民間最終消費の環境は良くないため、07年度の民間最終消費は引き続き低迷が予想される。ひいては4年続いたGDP成長率の2%台成長の維持も難しくなる。              


国内総生産の実質成長率




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| 2007年09月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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