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産業間で格差が大きい雇用変化の影響

総務省から「平成18年事業所・企業統計調査」(速報)が発表された。事業所・企業統計調査は1981年以降は5年毎に国や地方公共団体の事業所も含めた調査、その中間年に民営事業所を対象とした簡易な内容の調査になり、06年は5年毎の本格調査である。


 事業所・企業統計は地域別、産業別(小分類)に事業所数、従業者数が集計され、地域経済分析の有力な資料の一つになる。ここでは全国ベースで産業別の特徴をみる。
 平成18年事業所・企業統計調査によると、民営事業所数は01〜06年で6.8%減となり、96〜01年の5.9%減からむしろ減少幅が拡大している。今回の景気の底が02年1月であり、01〜06年はほとんどが景気回復期であったにもかかわらず、事業所の減少が続いていることになる。ただし、企業倒産は景気に対して遅行指標であり、これだけで先行きを厳しいとみることはできない。


 日本経済の活性化という観点からみれば、現在のように構造変化が激しい時代には、新規開業が活発かどうかが重要になる。01〜06年の新設事業所率(06年の事業所数中の01〜06年の新設事業所数の割合)は23.7%で、これに対し、廃業事業所率(01年に存在した事業所のうち、06年までに閉鎖した事業所の割合)は28.4%となっている。4分の1ほどの事業所が入れ替わっていることは、構造変化に取り残されて廃業する事業所がある一方で、新規に開設する事業者があることは明るい材料といえる。


 ただし、事業所の開設は既存の企業が事業所を開設することでも増えるため、起業、つまり企業の増加とは限らない。新規事業所開設は起業でなくても、事業が発展していることの反映であり、評価できる。逆に、事業所の閉鎖は必ずしも廃業ではないが、事業が順調でないためであれば、長期的には廃業も予想される。現実には、高速道路網の延長で、自動車による営業範囲が拡大し、卸売業、運輸業などで事業所集約化による地方都市の事業所閉鎖のような例は少なくない。


 96〜01年の新設事業所率は25.1%、廃業事業所率は29.5%であり、01〜06年の新設事業所率より1.4ポイント、同様に廃業事業所率より1.1ポイントいずれも下回っている。景気が回復すれば廃業事業所率が低下するのは自然でも、景気回復期にあることを考えれば、低下幅は小幅に留まっている。結局、企業間格差が拡大し、景気回復に取り残され、廃業・閉鎖する企業・事業所が多いと推測される。


 また、主要産業で新設・廃業事業所率をみると、新設事業所率が上回っているのは情報通信業と医療、福祉だけである。情報通信ではソフトウェア業、インターネット付属サービスの新設事業所率が高い。また、医療、福祉ではこの間に介護保険制度が導入された効果と推測される。


 地域では産業政策の主目的は雇用の拡大になる。従業者数は96〜01年の4.6%減に対し、01〜06年は1.0%減に止まり、事業所数とは逆に、従業者の減少には歯止めが掛かってきている。小規模事業所が閉鎖、小規模企業が倒産しているのか、残った事業所、企業が従業者を増やしていることになる。


 最近、雇用数の増加がいわれ、現実に統計では03年を底に回復し、雇用者数は06年に01年を上回っている。しかし、自営業も含めた就業者数は06年でも01年を下回っている。自営業は小売業の減少の影響が大きいと考えられる。


 産業別では建設業16.2%減、製造業9.5%減、金融・保険業10.3%減などの減少が目立ち、情報通信業15.0%増、医療、福祉31.3%増が高い伸びになっており、増減格差が顕著である。情報通信業は事業所数は増えていないので、1事業所当たりの従業者数が増えている、つまり大規模化していることになる。


 それよりも、情報通信業と医療、福祉で対照的なことは、情報通信業の従業者数は06年で163万人中、118万人、7割強が男性である。これに対し、医療、福祉は482万人中、356万人、7割強が女性である。大幅減少の建設業、製造業は男子雇用型で、割と地方分散している地方分散型産業になる。金融・保険業は男女均衡している。一方、情報通信業は大都市に集中している都市型産業で、医療、福祉は地方分散型産業になる。


 これからいえることは、近年の動向として、地方で女性の雇用は増えても、男性の雇用は増えない、むしろ減少している。一般的に女性の賃金は低く、女性の収入だけで家計を支えるのは難しいのが実態である。このような状態が長期化すれば、人口の大都市集中が加速化することになるが、現実の人口統計もそれを示している。


2001〜06年の新設・廃棄事業所率と従業者増加率




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| 2007年08月01日 | 雇用 | comments(0) | - |
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