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経済分析は客観的、多面的に

政府の9月「月例経済報告」はヾ覿伴益は改善し、設備投資は増加している、個人消費はこのところ伸びが鈍化している、M⊇个浪ばいとなっている、だ源困牢砲笋に増加している、などから全体として景気は回復している、との見解を示している。ヾ覿伴益の改善による設備投資の増加、だ源困硫困笋な改善などは輸出の回復に起因しており、現状も輸出が日本経済を支えている構造は基本的には変わらない。ところが、輸出が横ばいとなり、個人消費の伸びも鈍化しているとなれば、今後の景気の見通しは厳しくなる。
実質GDPと実質民間最終消費の推移

 月例経済報告では「梅雨明けが遅れたことなどの一時的な要因もあって」個人消費はこのところ伸びが鈍化している、としている。8、9月も天候的には恵まれなかったことから、個人消費の不振が景気の基調を変化させることを懸念する声もある。しかし、過去の例をみてもその可能性は少ない。

今年の梅雨明けは、気象庁がようやく7月30日に近畿・東海・関東甲信地方の梅雨明けを宣言した。関東甲信地方は平年より10日程遅いが、同様に梅雨明けが遅れた2003年より3日早かった。ただし、気象庁の梅雨明け宣言後も数日間は天候がすっきりせず、実態は03年並といえる。今年は、日本銀行が6月14日に金融政策決定会議でゼロ金利政策を解除し、市場の短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を実質0%から0.25%に引き上げた直後の異常気象による長梅雨になった。7月末頃には、長梅雨が個人消費の夏需を冷え込ませ、金利の上昇と合わさって景気を悪化させるという意見もあった。

 夏需をエアコン、扇風機等の耐久消費財、水着、クールビズ等の半耐久消費財、冷菓、清涼飲料等の非耐久消費財に分けると、耐久・半耐久消費財は6、7月の天候、特に土・日など休日の天候に左右される。これから判断すれば、耐久・非耐久消費財の夏需は不振に終わったと推測される。これに対し、非耐久消費財は8、9月の天候による部分も大きいが、今ひとつ盛り上がりに欠けたと推測される。

 今後の景気への影響を考える場合、2003年の事例が参考になる。この年は長梅雨の後、8月は低温・日照不足になった。つまり、非耐久も含めて全ての夏需が不振だった。当然、個人消費への影響があった。

 GDP統計の実質民間最終消費の推移は季節調整済みの前期比で、2003年1〜3月期と4〜6月期の2四半期連続の0.2%減から、7〜9月期は 0.4%増とむしろ低迷を脱した形で、天候の影響が全くなかったことになる。ところが、原数値の前年同期比ではこの間、1.2%増、0.3%増、0.2%減となり、7〜9月期の不振が顕著になる。夏需関連産業の生産・出荷動向から、実態を反映しているのは原数値の前年同期比と判断される。いずれにしても、統計は季調値だけでなく、原数値も調べるなど多面的に分析しなければ、判断を誤ることになる。そして、次の10〜12月期は前期比1.2%増、前年同期比 1.0%増となり、実質民間最終消費は7〜9月期の不振から脱している。

一方、実質GDP成長率の前期比成長率は03年1〜3月期の0.3%減から、4〜6月期0.7%増、7〜9月期0.5%増、10〜12月期1.6%増、 04年1〜3月期0.7%増と推移し、03年度は2.3%増の着実な回復となった。03年1〜3月期のマイナス成長は輸出が一時的に落ち込んだためで、その後、輸出が持ち直し、回復基調に変化はなかった。

 結局、天候要因は軽微だった。季節商品の需要動向はマスコミの話題になるため、実態以上に評価される傾向にある。マスコミは話題優先であり、現象を報道することが多いため、客観的な判断をするには統計資料も含めて冷静な分析が必要になる。統計資料も完全なものはないので、原資料の集計の対象、方法などからその精度がどの程度かを計って利用しなければならない。

 現在の景気に対しては個人消費よりも輸出の方の影響が大きい。もちろん、個人消費が景気に影響がないわけではないが、今回の景気回復局面では企業収益の改善、景気回復が個人消費にまで及ばない構造になっており、景気を引き上げるような力は期待できない。今回は、景気の底入れ段階から一貫して牽引したのは輸出であり、その輸出が横ばいになったことの方が懸念材料になる。米国経済が金利引き上げで住宅価格の上昇が止まり、個人消費に冷え込む兆しが出ている影響が日本の輸出の伸びを止めていると考えられる。輸出の横ばいが一時的現象で終われば、03年度のように景気の回復基調に変化はないが、長引けば下降への転換になる。


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| 2006年10月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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