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ゼロ金利解除は景気に影響なし

 日本銀行は6月14日の金融政策決定会議でゼロ金利政策を解除し、市場の短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を実質0%から0.25%に引き上げることを決定した。2000年8月にも同様に0%から0.25%に引き上げられたが、その直後に景気が下降に転じたことから、景気への影響を懸念する声もある。
 前回の2000年はその直後にITバブルが崩壊してしまった。米国の景気は悪化し、日本の輸出が減少に転じたため、輸出主導で回復していた日本の景気は 2000年の11月がピークになった。このため、2001年2月に再度ゼロ金利に戻ることを余儀なくされている。しかし、この程度の水準への引き上げで実体経済に影響があるわけはない。むしろ逆に、金利の上昇局面では、初期には駆け込みで住宅需要が増加する傾向にある。今回も耐震強度偽装問題の影響も表面化せず、住宅需要が伸びているのはその要因が考えられる。

 懸念する声が少なくないのは、90年代初めから異常な低金利が長期化していることで、ゼロ金利はもちろん、コンマ以下の金利が異常事態という認識が一般的になくなっているのかもしれない。日銀が金融政策を正常化する水準をどこに置いているかは分からないが、ある程度の金利水準にしたいのは当然である。

 一方、物価上昇がプラスになったとはいえ、まだ上昇率は低い。また、景気回復が長期的に持続しているといっても、輸出と民間設備投資に依存した回復であり、力強さに欠けるという意見もある。民間設備投資も輸出の増加に依ることから判断すれば、輸出依存の回復は確かである。しかし、政府が増税、医療費負担増、年金改悪など個人消費を冷え込ませる政策をとっている限り、景気回復効果が個人消費にまで広がることは当面期待できない。結局、景気回復の基盤が安定するまで待てば、いつゼロ金利が解消できるか分からない。

 ただし、ゼロ金利解消が景気に影響ないといっても、前回のような状況が予想されないわけではない。前回は米国のITバブル崩壊があったが、今回は住宅バブル崩壊による対米輸出減から景気後退があり得る。米国の個人消費は住宅価格上昇による資産価格上昇が支えている面もあるからである。米国では原油価格高騰で物価が値上がり傾向にあり、金利が引き上げられている。米国の公定歩合はそれまでの0.75%から2003年6月に一気に2.00%に、その後は 0.25%ずつの小幅の引き上げが続き、今年6月には6.25%まで引き上げられている。この影響で住宅価格が頭打ちになってきており、住宅バブル崩壊による消費の冷え込みも否定できない。そうなれば、偶然でも2回連続という皮肉な結果になる。

 それでも、前回は消費者物価上昇率が微減でも前年比マイナス基調であったのに対し、今回は原油を中心とする国際商品市況の値上がりから、まだ微増でも同プラス基調に転換している。加えて、まだ国際商品市況の上昇が最終製品にまでは波及していないが、金融緩和、低金利の長期化でインフレ懸念も出始めている。景気の実態は前回よりは良い。短期金利(無担保コール翌日物)

 また、金融緩和がもたらすマネーゲームに福井日銀総裁が参加者になっていたことも含めて社会問題となっており、福井総裁の責任問題も含めて前回とは異なる環境にある。ついでにいえば、民間からの転身とはいえ、日銀OB、それも副総裁まで務めた福井総裁が罰則規則の有無にかかわらず、金融政策担当者に求められる倫理を分かっていないのであれば、日銀が国際的にも信用がなくなることになる。

 いずれにしても、労働需給は1を上回るようになり、民間設備投資が回復していることは雇用や設備の調整が終了し、デフレは終了したと判断できる。景況が急変すれば別だが、異常な低金利は早く終了させることが望まれる。


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| 2006年08月01日 | 金融 | comments(0) | - |
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