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地域間所得格差は自主努力で解決するか

 所得格差問題が俎上に乗るようになってきたが、格差を問題にしない意見は、自らの所得の高い人が努力や能力による格差で仕方がないとする例が多い。一方、問題にする人はそれ以外の要因があることを指摘する。所得格差では、個人間以外に地域間格差もある。北海道夕張市が6月20日に財政再建団体への移行、自治体が倒産状態にあることを表明し、後に続く自治体が少なくないのではと懸念されている。地域間所得格差問題は避けて通れない課題になる。
 地域の所得に関しては、内閣府から国ベースの「国民経済計算」と同じように各都道府県が計算した結全国における所得格差果を集計した「県民経済計算」が発表されている。県民経済計算は国ベースと比較すれば都道府県のデータが乏しいため、信頼性に問題がある。また、最近時の発表数字も2003年度が最新で、国民経済計算より遅いのも欠点である。しかし、内閣府が指導し、全国的に同様の方法で推計しているため、長期的にみれば、一定の評価基準としては利用できる。

 これで全国の1人当たり県民所得の上位5位と、下位5位の推移をみると、まず、上位では東京都が突出した第1位を維持している。そして、愛知県が上昇しているのに対し、大阪府が低下し、1998年度以降は上位5位から転落している。愛知県は自動車産業を中心に製造業が県経済を支えているのに対し、大阪府は本社機能の東京流出による地盤低下に歯止めがかかっていないことが原因と考えられる。

 その一方で、下位の方をみると、沖縄県は万年最下位で、その他の下位県は順位が少々入れ替わっても、鹿児島県、長崎県、青森県、高知県などが常に下位にある。これらの県の位置が日本の端にあることが特徴として挙げられる。

 要因としては、産業構造からみれば、もともと相対的に第1次産業、製造業では非鉄金属、化学、製材などの資源立地型産業、公共投資関連の建設業などの比重が高い。第1次産業や資源立地型産業は資源制約や輸入品に押されて衰退傾向にあり、建設業も財政問題の影響を受けている。また、製造業は都市部で土地不足、人手不足から地方分散が進んだが、都市部の近いところから徐々に地方へと進んでいくため、日本の端まではなかなか到達しない。

 この下位の順位をみれば、それぞれの地域の自助努力は当然必要としても、それを超える地理的要因があることは明らかである。つまり、この地域間格差をなくすのが財政の再分配機能であり、それを単に直接お金をつぎ込んで底上げするのは問題だが、間接的にでも地方が自助努力で発展できるような支援策を考えるのが国の役割になる。ただし、1990年度のバブ崩壊期以降、2003年までの推移では、必ずしも都道府県ベースでみて格差が拡大しているとはいえない。それにもかかわらず、地方での不満が高いのは、統計数字の2003年度以降の景気回復期に地域間格差が拡大した可能性は別にして、仝共投資抑制という政策的な不況感が強い、 格差が維持されていても、所得が伸びていれば、格差が目に見えて拡大しないかぎり、それほど格差を意識しないが、デフレで所得の伸びが止まっているーことなどが要因として考えられる。

 いずれにしても、地域間所得格差は就労機会格差をもたらし、このままであれば、所得上位都県への人口集中が進む。それはまた別の問題、たとえば環境問題などを生じさせるわけで、結局、所得格差問題は国内の経済・産業政策を問うているのである。


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| 2006年07月01日 | 景気 | comments(1) | - |
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コメント
投稿者:- (2017年08月30日 03:28)
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