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景気上昇は期間の長さよりも中身が大切

2006年1〜3月期の実質GDP成長率が前期比0.5%増、年率で1.9%増と5四半期連続のプラス成長になったことなどから、戦後最長の好景気であった高度成長期の「いざなぎ景気」を抜く、抜かないが話題になっているが、景気を単純に上昇期間の長さだけで計っても意味がない。現実に、最近は国民の所得格差、地域間格差などのマイナス面を問題にする人も増えている。企業収益では過去の水準との比較で、大企業は高いが、中堅、中小企業は低いという規模間格差もある。これは従業員の賃金を通して所得格差にもなる。
もともと、景気の上昇と下降を単に比較すれば、下降より上昇の方が望ましいが、上昇すれば、すべての人に景気回復の恩恵が広がるわけではない。そのために財政の機能の一つに所得再配分が求められている。現在は、政策的にそれを放棄しているわけで、鉱工業生産指数の四半期別前期比伸び率景気上昇の恩恵を受けない人から不満が出るのは当然であろう。ただし、それがそれほど大きな声になっていないのも事実である。

短期の景気循環は〃糞いピークを打って需要が鈍化しても、企業がすぐにはそれに気づかないため、生産が過大となり、「意図せざる在庫」が貯まる、∈澹砲料加から需要の減少に気づき、生産を抑制する、しかし、当初は生産減は需要減の後追いになり、在庫は増加する、7从兩策や輸出などによって需要が回復すると、在庫の増加が止まり、減少に転じる、ず澹砲適正水準を下回るようになると、生産は回復に転じ、将来の需要増に備えて「意図した在庫増」も図られ、生産の伸びが加速する、と進んでいく。

これから明らかなように、景気循環は在庫と生産の動向によって生じる。現在の景気局面は、ITバブルの崩壊で景気が下降に向かい、2002年1月を底に上昇に転じ、上昇期間は06年3月までで50か月になる。いざなぎ景気は1960年10月を底に65年7月まで57か月の上昇期間であったので、今回、11 月まで上昇すれば、いざなぎ景気を抜くことになる。

しかし、上昇といっても四半期で鉱工業生産指数の対前期比の推移を見ると、時々マイナスの期もあり、特に、2004年7〜9月期、10〜12月期は2四半期連続のマイナスである。高度成長期と比較して伸び率が高い低いといってもあまり意味がないが、成長性が低いだけでなく、かなりよろけた足取りである。

要因は景気回復の内容が偏っていることにある。従来の景気回復パターンは、経済政策や輸出によって景気が回復すれば、企業収益が改善し、設備投資増となる。その後、企業収益の改善が雇用増や残業増、賃上げなどを通して個人所得を回復させ、消費拡大につながっていく。

それが今回は、企業のコスト削減意識が強く、個人所得の増加が抑えられ、多くの国民には最悪期は脱した感はあっても、本格的な回復感までには至っていない。そのうえ、政府が経済政策で支援するどころか税・保険料負担を増やし、公共料金の値上げを行い、年金、介護保険では将来不安を高める政策を採っている。

このような状態で上昇期間の新記録を議論しても意味があるとは思えない。もっと景気回復の中身に関して、例えば、企業収益の増加が個人にも波及するように、正規、非正規の雇用条件格差をなくす、労働基準法を遵守するように罰則を強化することで個人所得を保障し、消費の拡大を図るような議論が必要である。

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| 2006年06月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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