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2018年の地域別将来人口推計で東京圏集中から東京一極集中へ

 厚生労働省の試験研究機関「国立社会保障・人口問題研究所」が2017年に発表した日本の将来人口推計(中位の仮定、以下同じ)が15年の1億2,710万人から、40年1億1,092万人、45年1億642万人に減少する推計に基づき、地域別の将来人口推計を18年3月に発表した。日本全体の人口推計はもっと長期間だが、地域別には45年までの推計である。

 5年前の13年時点の人口推計は15年1億2,660万人、40年1億728万人であり、18年推計でわずかだが日本全体の人口は上方修正になった。上方修正の要因は生産年齢人口(15〜64歳人口)でも増えていることから、死亡率の低下になり、日本の少子高齢化の基調が基本的に変化したわけではない。

 少しでも人口推計が高くなったことは喜ぶべきことになるが、減少傾向に変わりはなく、今回の地域別推計では前回よりも、より一層東京一極集中が進む予測になった。地方の地域間経済格差に関しては、政府もその問題を認識している。14年12月の閣議で「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」が決定され、対策が講じられているが、その効果が政府機関によって否定されたことになる。

 前回の5年間隔の推計では、東京都は15年の1,135万人をピークに、20年から人口減少に向かう予測になっていた。都道府県別では出生率の高い沖縄県を除いて他はいずれも減少であった。その中で、東京都は相対的に減少率が低く、東京都の全国に占める割合は15年の10.5%から、40年には11.5%まで上昇になっていた。

これに対し、今回推計の東京都は15年の1,352万人から、20年には前回の減少から増加に転じて1,373万人になり、30年まで増加が持続して1,388万人でピークを打つ。減少に転じてもその速度が遅いため、東京都の全国に占める割合も上昇を続け、15年の10.6%から、30年11.6%、40年12.4%、45年12.8%へと着実に高まり、前回以上の速度で人口集中が進む予測である。

 沖縄県も同様にピークが30年になる。一方、両都県以外では15〜20年で埼玉県(726.7万〜727,3万人)、神奈川県(912.6万〜914.1万人)、愛知県(748.3万〜750.5万人)など増加に転じた県はあるが、いずれも微増程度に留まり、かつ20年がピークである。

 南関東(東京圏)の埼玉県、千葉県、神奈川県は東京都に牽引される形で、ベッドタウンとして人口集積が進んできた。すでに千葉県は15年には減少傾向にあり、埼玉県、神奈川県が東京都より10年早く先行して20年にピークになることは、東京都からの波及効果の低下、喪失を意味する。

 少子化による日本全体の人口の減少、日本経済の成長性の低下から東京圏の吸引力が低下していると推測できる。加えて、東京の湾岸地域の再開発で港区、中央区、江東区などで住宅建設が進み、人口が急増している。その背景には女性の就労増による職住近接ニーズ、また高齢化が医療や小売店が集積している都心の居住ニーズを高めており、都心、東京都の人口増をもたらしている。また、13年に決定した20年の東京でのオリンピック開催決定によって、競技施設も含めた東京再開発が活発化している影響もあると考えられる。

 ただし、この東京圏3県の人口が東京都より早く人口減少に向かっていても、日本全体と比較すれば相対的にその減少速度は遅い。このため、東京圏の1都3県の人口の全国に占める割合は15年28.4%、30年30.1%、40年31.3%、45年31.9%と着実に拡大している。それでも、15〜45年間で3.5ポイントでしかなく、うち、この間の東京都が10.6%から12.8%であり、2.2ポイントを占めていることから判断すれば、かつて言われた東京圏集中の時代は終わり、東京一極集中に向かっているといえる。

 地域間人口成長格差は高度成長期以来の日本の問題で、背景には経済発展格差がある。当時は地方から中卒者が就労の場を求めて東京圏への移動に加え、東京の大学への入学もあった。地方は教育コストを負担するだけで、その果実を東京圏に代表される大都市部に若者が流出することに不満があり、その対策が国の政策課題になった。

 これまでの過程で、高度成長による大都市部の労働力不足、工業用地不足によって、1960年代後半頃から工場の地方分散が進み、地域間格差が解消に向かうのではと期待を持たせる時期があった。ところが、国内の人件費の上昇に為替レートの円高が加わり、国内生産が困難になった分野から海外移転が始まった。80年代以降、国内工場は特に地方工場を閉鎖し、海外移転を進める動きが広まり、再度、地域間格差問題が深刻化してきている。

 最近の特徴はかつてとは異なり、日本の産業構造のサービス経済化で大都市圏の中で東京圏への一極集中が進んでいることが挙げられていた。それが衰退する大阪での橋下徹ブーム、維新の会ブームになったと推測できる。現実には府や市の制度、組織を組み替えたところで、産業をどう発展させるかの有効な戦略がない限り、大阪が発展し、人口が増えることは期待できない。

今回の地域別将来人口推計で東京圏の核、東京への一極集中が進んでいることが明らかになった。もちろん、13年と18年の5年間で推計が変化したように、今回の18年推計も今後の実績がどうなるかは不明だが、現状から見る限り、東京一極集中がより進む方向での変化は予想できても、逆に分散する方向への変化は予想し難い。

 政府は緊急経済対策で地域間格差問題の解消に取り組んでいるようだが、日本の課題となって半世紀以上になる。長期的に解決できなかった構造的な問題の答えが容易に見つけられる訳はない。現政権の重要課題として真剣に取り組む姿勢が見えない状態で、18年の推計が現政権の政策効果によって、結果として誤りだったということは予想できない。ただ、現状から政府に期待できないと判断し、自力発展を目指す地域が増えれば、その中から成功事例が出現し、それが広がれば、少しは期待が持てるようになるかもしれない。

日本の地域別将来推計(2013年3月推計と2018年3月推計)

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| 2018年08月31日 | 政策 | comments(0) | - |
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