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形態別消費から1−3月期の消費不振を考える

 内閣府が発表した2018年1−3月期のGDP成長率の1次速報値は、成長率が前期比0.2%減と9四半期振りのマイナス成長になった。マイナス成長の要因はもともと成長率が低い中で、実質で民間最終消費支出と民間住宅建設が前期比で減少になり、また輸出の伸びが鈍化したため、輸出から輸入を差し引いた純輸出でもマイナスの伸びになったことにある。ただし、民間最終消費は前期比マイナス成長といっても、伸び率では0.0%減でしかなく、住宅の帰属家賃を除いて0.1%減である。

 これらの中で、住宅は低金利や相続税対策で貸家を中心に伸びてきたが、供給過剰が明らかになり、勢いが殺がれてきたことから、既に17年7−9月期から3四半期連続の前期比減少である。最近はこれにシェアハウスの家賃支払い問題が発生し、このマイナス要因も加わるため、減少傾向は長引きそうである。相続税対策では80年代末のバブル時にも同様の貸家建設ブームがあった。結果、バブル崩壊で銀行からの借り入れの返済ができなくなり、建築主が破産した例も多く、社会の雰囲気を暗くすることが懸念される。また、輸出は海外景気頼りになるが、米国の金利が高まっているため、海外景気が悪化しなくても、現状以上に良くなることは期待し難い。

 結局、今後のGDP成長率は消費支出の影響が大きくなる。もともと所得が増えない中で、増加する税・保険料の負担を除いた可処分所得の伸びはより低くなる。民間最終消費のほとんどを占める家計最終消費の帰属家賃を除いた統計でみると、実質(以下、全て実質ベース)で17年1−3月期から5四半期の前期比で17年4−6月期の0.8%増から、同年7−9月期の0.6%減まで変化は大きい。7−9月期は天候異変の影響による減少と推測されるが、消費変化の要因を形態別の消費支出で考えてみたい。それによって財・サービスの供給側、企業の努力によって消費が拡大する可能性も考えられる。

 内閣府の形態別家計最終消費支出は家具及び装備品、自動車、家庭用機器、テレビ受信機などの「耐久財」、被服・履物、食器類及び家庭用品、ゲーム及び玩具等、スポーツ要因等などの「半耐久財」、食料、飲料、新聞及び定期刊行物などの「非耐久財」、そして「サービス」の4分類になっている。それぞれの割合は耐久財1割強、半耐久財1割弱、非耐久財3割強、サービス5割弱である。

 この4種類のうち、非耐久財とサービスが全体的に期によって上下はあるが、基調としてはプラス成長でもほぼ前期比横ばいといえる程度の推移である。サービスは旅行のように非日常的なものもあるが、電気・ガス、医療・介護、通勤・通学の交通、通信などの日常的な必要不可欠なサービスも多い。当然、非耐久財は日常的な消費がほとんどで、これらは所得の実態や将来不安から支出に抑制的な消費行動を反映している。

 一方、耐久財は17年1−3月期の前期比3.1%増から、7−9月期の同1.7%減まで変化は大きい。これを耐久財の代表である乗用車需要でみると、自動車工業会統計の前年同期比で17年1−3月期からの5四半期の推移は7.8%増、13.2%増、4.1%増、1.6%減、2.7%減である。4−6月期の大幅な伸びから7−9月期の伸び率の鈍化は顕著であり、これが耐久財の前期比マイナスの大きな要因になったと判断できる。株価上昇の恩恵を受けた消費者のほか、自動衝突防止装置による運転能力が低下した高齢者の買い替え効果もあったと推測できるが、それらの効果が一巡した影響と考えられる。所得から考えれば再上昇は予測し難いが、自動衝突防止装置に代表される自動運転の新技術で需要の掘り起こしの可能性はある。

 また、半耐久財は17年1−3月期の前期比3.8%増から、同4−6月期2.2%減へと、耐久財以上に変動が大きい。特に、18年1−3月期は前期比2.0%減と4−6月期に近い落ち込みで、かつ、4種類の中で最も減少幅が大きい。流行の影響を受ける衣服と住宅需要の影響を受ける食器類及び家庭用品があり、原因は民間住宅の減少を受けたと考えられる。

 消費のベースには比重の大きいサービスと非耐久財があり、これらは可処分所得からみれば伸びが期待できないが、耐久財、非耐久財の乗用車、電気製品、衣料等は企業努力で需要を拡大できる可能性はある。例えば、17年1−3月期は前期比で非耐久財0.1%減、サービス0.3%増と低い伸びにもかかわらず、耐久財3.1%増、半耐久財3.8%増と高い伸びになった結果、全体の家計最終消費は0.6%増と比較的高い伸びである。一方、10〜12月期も前期比で非耐久財0.2%減とサービス0.2%増は17年1−3月期と同程度の伸びでも、耐久財2.2%増と半耐久財1.3%増は伸びが低くなっているため、家計最終消費は0.3%増に留まっている。

 企業努力による需要増加効果は不明だが、住宅需要や乗用車需要の一巡からみれば、耐久財、半耐久財が消費全体を引き上げるほどの伸びは期待できない。となれば、経済成長は輸出に依ることになり、輸出の増加は回りまわって所得増を通して消費にも効果はある。結局、従来から日本経済は輸出次第としてきた、今後は従来以上にその傾向が強まると判断できる。後は不明でも企業努力に期待するしかないのが現状である。

実質GDP成長率と形態別家計最終消費支出(実質)の前期比成長率の推移

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| 2018年05月31日 | 景気 | comments(0) | - |
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