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団塊ジュニア世代が出産年齢を超え、出生数の減少が加速

 厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2016年に生まれた子供(出生数、概数値)は97万6,979人と100万人を下回った。これは1899年に統計をとり始めてから初めてで、前年比2万8,677人、2.9%の大幅減少にも拘わらず、注目度が低いのが不思議に思える。一般的には待機児童問題への関心が高いのに加え、少子高齢化が以前から言われ、出生数が減少しても当然と受け止められているためと推測できる。

 待機児童問題に関しては、厚生労働省の「待機児童及び待機児童解消加速化プランの状況について」によると、待機児童の多い1・2歳児童の16年児童数203.9万人中、保育利用児童数は83万7,949人、待機児童数1万6,758人となっている。1・2歳平均では待機児童は1万人以下で、83万7,949人の2.9%は2万人以上になるため、出生数の減少だけで待機児童問題は1、2年後には解消が見込める。

 もちろん、女性の就業率が上昇しており、児童数が減少しても保育利用希望数は増える可能性はある。それでも、就業率の上昇には限界があり、児童数が減少していけば待機児童問題の終結が期待できる。ただし、マクロ的にはそうであっても、出生数が多く、保育施設の新設が困難な大都市地域では長引くことは否定できないが、それは一部地域になる。国ベースの社会問題としては、数年の内に解消すると予測できる。

 それよりも出生数の減少、少子高齢化の深刻化が懸念される。出生率に関しては15年11月1日付けのこの経済レポートで取り上げたが、それから2年近く経って、団塊ジュニアの人口のピークが出産年齢を超えようとしているからである。16年10月1日現在の統計で、女性人口の年齢構成は43歳の98.4万人がピークになり、それ以下の若い年代は着実に減少している。

 図で分かるように、再生産年齢の「15〜49歳」(だたし、この年齢以外での出産も含まれる)で、晩婚化を反映してかつては出生率の高かった「20歳代」は70年以降、急激に低下し、「30歳代」と「40〜44歳」が増えてきた。ただし、「30〜34歳」は14年の100.5人(女性1,000人当たり)をピークに16年は99.4まで下がっている。

 一方、「35〜39歳」と「40〜44歳」はまだ増加傾向にあるが、高齢出産では限界がある。「35〜39歳」と「40〜44歳」の16年の出生率は55.8人と11.2人で低い。また、「45〜49歳」(50歳以上を含む)は増加しているといっても、16年の出生率は0.3人でしかない。これから団塊ジュニアによって人口が増えたとしても、ほとんど出生数に影響はない。ちなみに、日本産婦人科学会の1993年の定義によると、高齢初産は「35歳以上の初産婦」と定義されているが、それ以前は「30歳以上の初産婦」となっていた。

 出生数は人口と出生率の積になり、人口の下で出生率が増加すれば、出生数の低下を防ぐ可能性はある。しかし、その実現は考え難い。晩婚化が相対的に若い年代の出生数を減らし、高齢者を増やしても、最終的には一人の女性が一生に産む子供の平均数、つまり合計特殊出生率の問題になる。

 合計特殊出生率は所得や教育費負担も含めた子育て費用などの経済的要因以外にも、社会、政治などからの精神的、思想的な問題の影響も受けると考えられる。これらのうち、経済的な要因では安倍政権の経済政策、アベノミクスに期待が高まった時もあったが、この1、2年でそれはほとんどしぼんでしまっている。

 一方、社会的な不安は特に変化しているとは思えないが、政治面では国民が反対、またはよく理解できない法律の導入が続いており、この面では積極的に出産するような雰囲気ではない。期待できるのは待機児童問題の解消になる。このプラス要因だけでは、経済的要因による合計特殊出生率の引き下げ効果が大きいと予想され、合計特殊出生率が高まることは予測し難い。

 また、16年10月1日現在の女子人口は43歳の98.4万人から25歳の57.1万人まで減少し、その後は下げ止まり傾向がみられる。原因は「団塊ジュニアのジュニア」時代に入った影響と推測できても、団塊ジュニアのように顕著な増加現象の再現にはなっていない。下げ止まったという程度で、一進一退になった後、これから再生産年齢の中心になってくる19歳以下からは再度、着実に減少し、4歳以下は50万人を下回っている。

 これを男女計の出産数の推移でみると、団塊世代のピークの49年は269.7万人、丙午(ひのえうま)の影響を除いたその後のボトムが57年の156.7万人である。そして、団塊ジュニアのピークになった73年の209.2万人からは趨勢的に減少基調が続き、16年には100万人を下回った。

 合計特殊出生率や女性人口の推移から判断すれば、出生数が回復する可能性は全くない。むしろ、女性人口構成からは減少に加速が掛かると予測できる。もちろん、その一方で長寿命化が進むため、人口の減少は比較的穏やかに留まる。国の基礎が国民にあり、経済は現役世代が支えることから考えれば、出生数問題にもっと関心が集まって然るべきと思う。

年齢5歳階級別出生率の推移(女性人口1,000人当たり)

経済の視点
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| 2017年07月01日 | 政策 | comments(0) | - |
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