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消費の回復力が弱い原因は消費税増税だけか

内閣府から2016年1〜3月期GDPの1次速報値が発表された。これによると、実質GDP成長率(季節調整値)は前期比で0.4%増(年率1.7%増)と、前10〜12月期の0.4%減(同1.7%減)から持ち直した。この結果に対して、事前の成長率予測を上回ったため、予想外に良かったという意見と、うるう年による1日増効果を見込めば、ほぼゼロ成長で、不振状態が続いているという意見がみられる。

 いずれにしても回復からほど遠いことでは変わりはなく、その要因として、GDPの6割近くを占める最大需要項目の個人消費の低迷が大きいことでは一致しつつある。個人消費を家計最終消費支出(民間最終消費支出ー対家計民間非営利団体最終消費支出)でみると、1〜3月期の実質成長率の前期比は0.5%増である。これだけだけみれば悪くはないが、15年4〜6月期からの推移は0.9%減、0.5%増、0.9%減、そして1〜3月期の0.5%増と、回復力は落ち込み幅を上回らず、推移としては下降の方向になる。

 これは金額ベースで少し長期間観察すれば、よく理解できる。実質家計最終消費は景気回復で13年までは着実に拡大し、そこに消費税増税による駆け込み需要で、14年1〜3月期に急増した。当然、直後の4〜6月期はその反動で減少し、7〜9月期もほぼ横ばいになった。そして、10〜12月期、15年1〜3月期は回復の兆しがみられたが、その後は前述の通りである。

 実質家計最終消費額(季節調整値、年額)は12年4〜6月期から300兆円台に乗せ、14年4〜6月期、7〜9月期は300兆円を割り込み、10〜12月期、15年1〜3月期は300兆円台に戻した。しかし、これは一時的現象で終わり、4〜6月期以降は下回ったままである。この推移にみられるように、14年1〜3月期をピークとする山形のグラフになっているため、消費不振の原因を消費税増税にあるとする見方が強い要因となっている。

 しかし、そうであれば、消費者物価指数(総合)が14年5月の前年同月比3.7%増をピークに上昇率が下がっており、16年3月には同0.1減と、13年5月の同0.3%減以来のマイナスになった。今回は食料がなかなか値下がりしないため、消費者物価の推移ほどは消費拡大効果が現れないと推測できるが、少しは物価安定効果が現れてもおかしくはない。つまり、消費税増税に消費不振の原因を求めるのは単純過ぎると考えられる。

 このため、名目家計最終消費額をみると、物価が下がっていた2005暦年価格で実質を推計しているため、名目額が実質額よりも低いが、実質とほぼ同様の推移になっている。ただし、16年1〜3月期は乖離傾向が見られる。物価が安定してきた効果から、名目額の伸びを実質額が上回ようになるため、乖離は当然といえる。

 16年1〜3月期の実質家計最終消費額の0.5%増に対し、名目は15年10〜12月期の0.9%減に続いて、0.1%減と僅かだが2四半期連続のマイナス成長である。低い伸びでも一人当たりの賃金は伸び、雇用者数が増加し、勤労者全体の所得が増えている中で、消費者は消費の紐を締めていることになる。もちろん、株価下落の影響があるのかもしれないが、いずれにしても、もともと高くはない消費水準を切り下げる、つまり生活水準を切り下げる消費行動を取っている推測できる。

 消費増税の反動減を考慮しても、その影響から脱して1年半も経って2四半期連続の消費抑制は、他の原因の影響を考える必要がある。原因として、.▲戰離潺スの失敗が一般的にも認識されるようになり、回復期待が消失した、↓,箸盍愀犬垢襪、為替レートの円高で企業収益の悪化が予想されるようになり、収入増が期待できなくなった、社会福祉政策の後退、特に介護保険料の引き上げ、介護保健サービス、医療費の自己負担増などで高齢者の将来不安の高まり、などが挙げられる。

 ちなみに、名目家計最終消費額は15年10?12月期、16年1?3月期は283兆円台で、この水準は消費税増税の影響で落ち込んだ14年4?6月期の285兆円、さらに遡れば、13年4?6月期の284兆円をも下回る。消費者の将来不安はかなり深刻と考えるべきであろう。

 また、4月の熊本地震は1〜3月期には関係はないが、5年前の東日本大震災の記憶が強い中での発生で、震災への懸念を強めることは確実である。具体的には、地域への直接的な影響よりも、将来不安から国民全体により一層の消費抑制の影響をもたらすと思われる。これから考えれば、消費税の再増税を実施するかどうかよりも、国民の将来不安を解消できる政策と国民の政府への信頼性の確立が重要になる。



家計最終消費支出額の推移

経済の視点
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| 2016年06月01日 | 政策 | comments(0) | - |
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