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高まる女性の就業率ー崩れるM字型就業構造

 前回のレポートで出生率を取り上げたが、今回はそれと相互に影響し合う女性の就業を考える。就業をみる場合、就業者数・率は景気の影響があるため、労働力人口・率を取り上げる例が多い。労働力人口は就業者と就職活動をしている人の合計で、就業者や就職活動も景気の影響を受け、また就職活動は失業保険の給付期間の影響もあるため、ここでは就業者でみる。

 女性の就業ではM字型就業構造が知られている。学校を卒業して就職し、就業率が上昇する。そして、結婚、出産で退職して下降した後、子育てが終われば就職して再度、就業率が上昇する。その後は高齢化に伴って徐々に退職していく結果、上昇、下降、上昇、下降のM字型になる。

 ところが、1994年、04年、14年の20年間の女性の5歳階級別就業率の推移をみると、94年は20〜24歳と45〜49歳をピークとするM字型が明確だったが、14年では30〜39歳で少しへこみがみえる程度で、顕著ではなくなっている。

 94年の最初のピークの20〜24歳から落ち込んだボトムの30〜34歳は、70.5%から51.4%へと20ポイント近い落ち込みである。これに対し、14年は最初のピークが高学歴化を反映して25〜29歳の75.7%になり、ボトムは同じ30〜34歳でも68.0%へと、減少幅は半分以下の8ポイントにもならない。

 この20年間で30〜34歳が27ポイント近くも就業率が高まり、30歳代でもほぼ7割もの女性が働いている。女性の非婚化、晩婚化、また、結婚しても出産しないか、出産退社せずに働き続けることが一般的になっているといえる。

 また、高齢者の就業率も高まり、60〜64歳で47.6%、半数近く、65〜69歳で30.5%と3割が働いている。一方、70歳以上は94年10.4%、04年8.7%、14年8.9%と増えているとはいえないが、長寿命化によって高齢者が増えるため、就業率が下がっても不思議ではない。

 70歳以上の女性就業者数でみれば、この間、73万人、91万人、124万人と増加数が加速する傾向にある。働きたくて働いているのか、生活が苦しいためかなどその理由は不明だが、70歳以上男性の14年の就業者は194万人である。13年から8万人増えており、15年には200万人を超えそうで、高齢者も人口減少時代を迎えて貴重な労働力になっている。

 ちなみに、男性の就業率は30から54歳まで90%台であり、女性を大きく上回っている。ただし、14年のピークは35〜39歳の93.2%に対し、94年には同じ35〜39歳がピークでも96.5%であり、男性の就業率は下がっている。つまり、男女間の就業率格差は縮小する傾向にある。

 女性の就業率の今後は不明だが、最近の動向をみる限り、上昇すると予想できる。産業構造がサービス経済化すれば、サービス業は相対的に女性に向いた仕事が多いため、女性の就業者が増えるのは不思議ではない。もちろん、女性側にも理由は別として働く意欲を向上させる要因が不可欠である。

 いずれにせよ、出生率を上げるには出産しても働ける社会の構築が必要になり、政府が進める保育所の拡大は適切といえる。ただし、それは需要側からの判断であり、供給側の保育士は労働条件が悪いため、就職希望者が少ない、つまり供給不足の問題がある。これは介護士と同じ構造で、一人で多くの幼児の面倒をみられないためである。保育士の待遇改善には親の負担を高くするか、税金で補助するしかない。

 現実は、低賃金の非正規労働者が増えているため、高い保育料を負担する能力のある人は少ない。今春闘も賃上げが叫ばれ、賃上げが行われたという報道が目立ったが、厚生労働省「毎月勤労統計」でみれば、労働者全体で賃上げが実現しているとはいえない。結局、税金で補助するしかないが、政府はそこまで考えているのかどうかが問われる。

女性の5歳階級別就業率の推移

経済の視点
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| 2015年11月30日 | 雇用 | comments(0) | - |
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