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4〜6月期のIIPは3四半期振りのマイナス成長の要因

 6月のIIP(鉱工業生産指数)速報値(季節調整値)は5月の前月比2.1%減から持ち直したが、同0.8%増に留まった。結果、4〜6月期のIIP成長率は1.5%減、昨年7〜9月期以来の3四半期振りのマイナス成長になった。景気は穏やかでも回復基調にあるというのが一般的な見方で、その判断は間違ってはいなくても、かなり穏やかな回復基調になる。

 内閣府は7月24日、第15循環の景気のピークを2012年3月、ボトムを12年11月に確定したと発表した。ボトムは以前に発表された暫定値と同じに対し、ピークは暫定値の4月より1カ月早くなった。ちなみに、IIP(季調値)はピークが12年1月の101.5、ボトムが11月の93.4である。いずれにしても12年12月以降は回復期になる。

 月間は別として、四半期ではIIP(季調値)は13年度中は成長を続けた後、14年4月からの消費税増税に伴う駆け込み需要とその反動で、14年4〜6月期は前期比3.0%減の大幅マイナス成長になった。この大幅マイナス成長で反動減はほぼ出尽くしたと推測されたが、次の7〜9月期も同1.4%減になり、回復力の弱さが明らかになった。

 しかし、その後は10〜12月期0.8%増、15年1〜3月期1.5%増となり、弱くても回復基調と見られていた。ただし、1〜3月期は四半期でみれば、1.5%増の比較的高い伸びだが、これは1月の水準が高かったためで、2、3月は2カ月連続のマイナス成長である。結果、3月の水準が1~3月期を1.6%も下回り、4〜6月期の回復力が弱ければ四半期でのマイナス成長は予想できた。この1.6%は1.5%とほぼ見合い、つまり、4〜6月期はい3月と同水準の推移だったことになる。景気回復が強調されていても、実態経済はそれほどでもなく、それがIIPに反映するのは当然である。

 日本経済は12年が不況期になるが、その主因は現在もギリシャ問題として尾を引いている10年に発生した欧州ソブリン危機、またはユーロ危機にある。その影響で日本の輸出が減少して景気後退に陥った。そして、欧州が完全でなくてもソブリン危機の最悪期から脱したことで、日本の輸出も底入れし、日本経済は12年11月をボトムに回復に転じたというのがこの間の景気循環の経緯になる。

 結局、消費税増税の攪乱要因はあるが、個人消費に代表される内需の回復力が弱い状態では、結局、アベノミクスに関係なく輸出次第というのが日本経済の現実である。為替レートの円安は輸出や海外投資の収益増で企業を潤すだけで、輸出の数量は海外景気の影響が大きい。一方、景気回復力が弱い要因の一つに挙げられる所得格差の拡大は、日本だけでなく世界的な現象であり、世界的に景気回復力は弱い。世界では景気が良いとされる米国も、金利引き上げの実施の先送りが続いており、回復力が期待ほどではないことを示している。

 このため、日本の輸出数量指数の前年比伸び率は12年後半が10%前後の落ち込みになり、その後は回復傾向といっても、かつてのように2桁台に乗るような伸びはなく、四半期ベースでは5%増にも達しない。この1年ほどの推移は前年同期比で、14年4〜6月期1.0%減、7〜9月期0.3%増、10〜12月期2.3%増、15年1〜3月期3.8%増、4〜6月期0.5%減である。

 この輸出数量指数とIIPの関係の分析はIIPの原指数の前年同期比と比較するのが望ましいが、消費税増税による変動があるため難しい。前年同期比と前期比の違いはあるが、輸出数量指数とIIP(季調値)の伸び率を比較すると、15年4〜6月期のIIP(季調値)のマイナス成長は輸出の不振の影響と考えられる。また、14年7〜9月期のIIP(季調値)の2四半期連続のマイナス成長も同期の輸出数量が0.3%増とほぼ頭打ちになった影響も大きいと推測できる。

 つまり、日本経済は世界経済による輸出動向で景気が変動する構造になっているといえる。そして、世界経済は米国は期待ほどではなくても回復傾向にある一方、欧州はギリシャ問題が解決からはほど遠い状況で、回復に力強さが欠け、中国も構造的問題を抱えながら何とか比較的高い成長を維持している状態である。このような世界経済から判断すれば、日本経済が輸出主導で着実な回復を続ける保証はなく、景気転換をいつ迎えてもおかしくはない。

 一方、4〜6月期のIIP(季調値)はマイナス成長になったが、製造工業(ほぼIIPと同じ)予測指数は7月0.5%増、8月2.7%増となっている。最近の予測指数は回答企業が期待を込めているためか、先行き高い伸びを見込み、実績は大幅に下方修正される傾向にある。ただ、それを見込んでも予測指数からは7〜9月期は前期比微増でもプラス成長が予想される。4〜6月期のIIPが景気後退のシグナルとは考え難くても、日本経済が順調な回復からはほど遠いことを表している。


鉱工業生産指数と輸出数量指数の成長率の推移

経済の視点
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| 2015年08月02日 | 景気 | comments(0) | - |
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