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日・中間の経済規模格差は2014年2倍強から15年2.5倍以上に

 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーになる参加締め切りの3月末に向け、EU主要国でG7のイギリスが3月17日、最初に参加を表明した。その後、ドイツ、フランスなども続き、参加を表明した国・地域は3月末までに50を超え、その後も増え続けている。

 一方、AIIBのライバルになるアジア開発銀行(ADB)に設立以来、総裁を出している日本はAIIBに消極的で、参加しないようにEU諸国への働きかけが裏切られ、日本政府のショックは大きいと報道されている。つまり、EU諸国が日中を比較して中国を選んだことになるが、冷静に日中の経済規模と成長性から判断すれば、当然の結果といえる。日本がヨーロッパ諸国に期待しても、客観的に見れば、完全に的外れな一方的な思い込みでしかない。

 日中の経済規模に関しては、2010年に中国が日本を抜き、日本がそれまでの世界第2位の経済大国から、第3位に転落したと、当時は話題になった。国際比較はドルベースで行われるため、ジェトロ(日本貿易振興機構)資料でドルベースの名目GDPを比較すると、すでに09年に中国5兆1,058億ドル、日本5兆351億ドルとなり、09年に日本は抜かれていた。確定値の発表まで時間が掛かるため、この1年のずれは大きな問題ではなく、それよりもその後の推移、さらには今後の見通しにある。

 中国はかつての実質GDPが10%を超える高成長から低下しても、14年で7.4%成長である。また、物価は上昇しているため、名目GDP成長率は13年まで10%を超え、14年は物価上昇率が下がり、8.2%成長にとどまっている。低下しても、日本と比較すれば名目、実質共に大幅な高成長である。かつ、対ドルレートは元高が続いており、ドルベースでは成長率はより一層高まる。

 日本は中国に抜かれる前年の08年以降で、実質GDP成長率がリーマンショック後の落ち込みから、反動増の10年の4.7%増が目立つ程度で、その以外はマイナス成長か、プラス成長でも1%台でしかない。加えて、デフレ状態が続き、名目成長率は10年でも2.6%増と実質の伸びを大きく下回っている。結果、名目GDPは08年の501兆円を下回る額で推移し、回復基調の14年(速報値)が08年以来の金額でも500兆円に届かない。

 ただし、ドルベースは異なり、日本のGDPは08年の4兆8,492億ドルから、12年の5兆9,602億ドルへと、22.9%増である。08年の1ドル=100円を超える円安水準から、80円前後まで急速に円高が進んだ効果で、ドルベースでは膨らんだ。それでも、日中間の経済規模格差は09年の1.4%から、12年24.1%へと拡大している。

 そして、安部政権下で円安が急速に進み、IFM資料の年平均で12年の79.1円から13年は97.6円へと20%以上も急落した。この影響で日本の名目GDPは拡大しても、ドルベースでは大幅減少の4兆8,985億ドル、前年比17.8%減、中国との格差は93.3%と2倍近くまで拡大した。これを受けて、昨年ごろから日中間の経済規模格差が約2倍、または超えたという意見が見られるようになった。

 ドルベースで14年の名目GDPの発表はまだないが、中国の自国通貨建ては国家統計局が63兆6,464億元、前年比11.9%増、日本は内閣府が速報値で488兆円、前年比2.1%増と発表している。これとIMF資料の14年の為替レート、1ドル=6.1434元、105.9円から推計すると、中国10兆3,601億ドル、日本4兆6,061億ドル、格差は2.25倍になる。日本は速報値で、数値は修正になるが、それほど大きく変わらないであろう。つまり、14年には中国が日本の2倍以上、それも少なくとも2.2倍程度になったのは確実といえる。

 また、元の対ドルレートの上昇速度は減速傾向にあるが、まだ元高基調にある。一方、14年の円レートは105.9円だが、これは平均値のためで、年末から120円前後の推移になっている。これで計算すると14年は4兆667億ドルまで縮小する。この金額だと、中国は日本の2.55倍になる。

 日本は4月以降は消費税増税効果がなくなるため、消費者物価上昇率は前年比ゼロ近く、場合によってはマイナスになることもあると日本銀行も認めており、より一段の円安を望んでいるのではと思われるほどである。ただし、米国がドル高で輸出が伸びないため、米国の反対でこれ以上の円安が可能かどうかは疑問があり、為替レートは大きな変化はないと考えられる。

 日本の15年の実質GDP成長率はプラスでもせいぜい1%台で、消費者物価の上昇率も低下すれば、名目で2%台に乗るかどうかになる。これに対し、中国は実質GDPで7%成長を目標にしているようだが、これには達成は厳しいという見方が多い。それでも、5%を下回るまでの悲観的な見方は見当たらない。経済成長率の減速に伴い物価上昇率も低下しているが、マイナスの物価は考えられない。名目で少なくとも5%以上は成長が予想され、為替レートも穏やかでも元高が続けば、ドルベースは元ベースよりも伸びは高くなる。

 結局、15年の日米間経済規模格差は少なくとも5%近くは拡大し、中国が日本の3倍にまではならなくても、少なくとも2.5倍以上、そして2、3年のうちにそれが3倍を超えると予測できる。以上のような現状、さらには今後の見通しを海外からみれば、日本より中国を選ぶのは当然である。日本は円安、株高で喜んでいるが、それが国際比較で日本経済の地位を貶めていることを認識しなければならない。


日中の名目GDP(現地通貨建てとドル建て)の推移


経済の視点
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| 2015年04月29日 | 貿易 | comments(0) | - |
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