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2015年度経済は消費税増税の影響一巡で穏やかな回復で、物価2%目標は?

 2014年7〜9月期の実質GDP成長率の2次速報値は前期比0.5%減(年率1.9%減)と、1次速報値の同0.4%減(同1.6%減)から下方修正になった。4〜6月期に続いての2四半期連続のマイナス成長で、原数値の前年同期比で見ると、4〜6月期0.3%減、7〜9月期1.3%減になり、減少幅は大幅拡大である。このため、年度下期の10〜12月期、1〜3月期は前期比プラス成長になっても、急速回復力にならない限り、14年度の実質GDP成長率は09年度以来の5年振りのマイナス成長になる。

 為替レートの円安に加えて消費税の引き上げで、消費者物価は14年度に入って前年比3%台の上昇率に高まっている。一方で、所得は伸びず、雇用増も低賃金の非正規雇用の増加であるため、この前回の経済レポートで示したように実質の雇用者報酬は大幅マイナスである。加えて、政府は社会保障を切り下げており、株高の恩恵を享受している一部の高所得者を除いて、大多数の国民は生活不安から消費を抑制している。結果、この冬のボーナス増の恩恵が一部の雇用者に留まる状況では、力強い消費回復を見込めず、14年度の実質GDP成長率はマイナス成長の可能性が強い。

 1年前の主要な各民間予測機関の14年度予測はだいたい「駆け込み需要の反動減が避けられず、加えて所得が増えないなかで物価上昇から実質所得はマイナスになり、実質の個人消費と民間住宅がマイナス成長になるという見方で一致している。それをEUの景気底入れ、米国経済の回復が続くため、世界経済が緩やかでも成長軌道を描くことで、輸出主導の成長予測になる。GDP成長率は4〜6月期に反動減から実質でマイナス成長でも、7〜9月期からプラス成長になり、年度の成長率はだいたい実質で1%前後、名目で2%前後のプラスの成長の予測」でほぼ統一されていた。実質でマイナス成長を予測したところはなかった。

 ところが、今回の14年度見込みは実質で0.5〜0.8%のマイナス成長、名目で1%台のプラス成長にいずれも下方修正である。為替レートは前回からは若干円安傾向だが、財貨・サービスの輸出入は予測からの修正幅は小さく、公的固定資本形成も同様である。下方修正になった要因は内需の民間にあり、民間設備投資の回復力は弱く、特に民間最終消費と民間住宅建設の予測が過大だったことにある。

 前回の民間設備投資の回復予測は基本的には景気回復による企業収益の改善によるが、予想以上の円安は国内生産の優位性を高める要因になるため、むしろ上方修正になるのが自然である。現実が逆になっているのは、為替レートとは関係なく企業が海外投資に力を入れていることを反映している。つまり、企業は内需に期待していないといえる。

 民間最終消費と民間住宅建設のうち、民間住宅建設は実質で前回の各民間予測機関の13年度見込みの伸びを実績が2〜3ポイント上回っており、その分、14年度の反動減によりマイナス幅が拡大したと推測すれば、基本的な判断は間違っていないといえる。また、もともと民間住宅建設はGDP全体の3%ほどしかなく、GDP成長率に与える影響は小さい。

 14年度の実質GDP成長率見込みがマイナス成長になった主因は民間最終消費予測の誤りにある。前回の各民間予測機関の14年度実質民間最終消費予測はマイナス成長でも1%前後であり、今回はいずれも3%近い減少見込みであり、2ポイント近い下方修正である。円安が予想以上でも、前回の消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下同じ)予測が3%近い上昇率であったのに対し、今回はそれが3%前後の上昇率であり、それほど乖離はない。

 消費者物価の上昇予測はほぼ予想通りで、現実の民間最終消費が大きく落ち込んでいるのは、消費行動を見誤ったためと考えられる。多くの専門家やマスコミがアベノミクスを評価して日本経済の将来を明るいとしても、ほとんどの国民、消費者は将来に不安を感じ、支出を抑制している。もちろん、この消費行動が15年度も続くかどうかは不明だが、所得の伸びが物価上昇に追いつき、追い越せなければ、民間最終消費の回復力に期待できない。

 15年度の各民間予測機関のGDP成長率予測は名目で1%台、実質で1.5〜2.5%のプラス成長となっており、今回の予測も基本的な見方に差はない。為替レート120円前後、世界経済は米国主導で穏やかな回復などでもほぼ一致している。15年度実質GDP成長率は穏やかでも回復予測になっているのは、消費税増税による物価上昇が一巡し、民間最終消費が回復すると判断しているからである。

 各予測比較の特徴として、消費者物価上昇率予測が低いと、実質GDP成長率が高いことが挙げられる。消費者物価上昇率予測は0.3〜1.4%増まで比較的幅広く分散している。高い方は消費税3%引き上げの消費者物価への波及分2%ほどを除くと、14年度では1%前後の上昇になるため、上昇基調は15年度も変わらない予測になる。一方、低い方は原油価格の見通しでも低くなっており、原油価格の下落が消費者物価に波及する影響と考えられる。

 各民間予測機関の発表は2次速報値発表の12月8日から数日以内に行われ、原油価格の1バレル=50ドル台への急落はその後になる。消費者物価上昇率が最も低い0.3%上昇の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの原油価格がドバイ原油価格で、バレル当たり14年度88.1ドル、15年度66.7ドルとしている。現状はより低くなる可能性があるのを考慮すると、物価上昇率は下方修正になると推測できる。

 今回の予測で消費者物価上昇率が15年度1.4%増と最も高い日本総合研究所は16年度まで四半期ベースの予測を発表している。これによると、2015年1〜3月期、4〜6月期の予測はそれぞれ為替レートが1ドル=124円と125円、原油輸入価格が1バレル当たり85ドルの横ばいで、消費者物価上昇率は1.6%増、1.4%増である。

 原油価格はこれより安くなれば、為替レートが1ドル=130円台、140円台とさらに切り下がるか、国際食糧市況が高騰しない限り、日本銀行の15年度消費者物価上昇2%の実現可能性は非常に低いと判断できる。となれば、日本銀行は2%目標を放棄するか、15年度の早い時期にもう一段の金融緩和に踏み切るしかない。ただし、この間の実績から判断すれば、金融緩和をしても2%目標が達成できる保証はない。そして、その場合には少なくとも金融緩和の後始末がより一層困難になり、新たな問題が生じるだけである。

2015年度の経済見通しの主要項目別一覧

経済の視点
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| 2014年12月28日 | 景気 | comments(0) | - |
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