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高齢者中心の就業者増の日本経済は成長できるか

 労働需給や失業率などの雇用統計の改善が進んでいても、パート中心の非正規雇用増で、正社員の雇用改善は遅れているため、雇用改善の中身が問題という批判は多い。一方、人口の高齢化への関心は高いが、雇用の高齢化はあまり注目されていない。政府が進めている外国人労働力の受け入れ問題でも、東京オリンピック建設に向けての短期的な課題としての議論が中心で、雇用の高齢化と結び付けた議論は目にしない。

 労働力人口は主に15歳から65歳が対象になるため、単に、これから戦後の第1次ベビーブーム世代が労働市場から退出し、労働力の減少への危機感が一部にみられる。しかし、長期にわたる経済の低迷状態からそれほど広がってはいない。現実には構造変化が生じ、勤労者が55歳定年や60歳定年の時代は65歳以上で働くのは例外的だったかもしれないが、最近では珍しくはない。

 労働力人口は就業者と就業していなくても就職活動している者で、不況で雇用環境が悪くて就職活動しない失業者は労働力人口に含まれない。しかし、景気が回復し、雇用環境が改善されて就職活動を再開すれば、労働力人口になるため、労働力人口は一定ではなく、実態とかけ離れていると考えられる。特に、就職が困難な高齢者ではその傾向が強いため、ここでは総務省「労働力調査」の就業者数を使う。

 就業者数は2011年が異常値であるため、前年比は13年からしか評価できない。このため、13年からの前年比増減の推移をみると、就業者数は着実に増加している。13年は月平均で就業者数は41万人増え、10歳間隔の年齢階級別では、65歳以上が41万人増になっており、増加している非正規雇用は高齢者を対象にしていといえる。もちろん、雇用者側は高齢者だけを対象にしているわけではないと推測できるが、低収入の非正規雇用職場に適した人材は高齢者が中心になる。

 14年に入ってもこの傾向は続いており、1〜5月で全体は210万人増(月平均42万人)に対し、65歳以上は198万人増(同40万人)である。男女別は男性の雇用増が女性を若干上回っており、定年退職した高齢男性の就業意欲が強いことが窺える。

 65歳以下では45〜55歳の増加が目立っている。第2次ベビーブーム世代がこの階級に入ってきているためで、今後、5年程度はこの階級の増加が見込める。一方、少子化の影響で34歳以下は減少が避けられず、現在は増加している35〜44年は第2次ベビーブーム世代がピークを過ぎるため、1、2年以内に減少に転じると予測される。

 この年齢階級別就業者数構成からみれば、日本経済に明るい展望は持てない。知識、技能、体力などから判断すれば、この年齢階級で生産性が高いのは25〜54歳になる。一方、人口は13年10月1日時点で第1次(ピークは64歳223万人)と第2次(同40歳202万人)のベビーブーム世代間の最も少ない52歳で152万人になる。これに対し、40歳以下は減少基調で推移し、25歳でも130万人と52歳よりも20万人以上少ない。また、0歳は104万人で、100万人を下回るのも近いのではないか。つまり、男性に比べて就業者の少ない女性の就業が急増しない限り、25〜54歳の就業者数は景気の状況に関係なく、毎年10万人以上減少すると推測できる。逆に、65歳以上の就業者の増加が続き、就業者の高齢化が進むことになる。

 年齢階級別就業者数構成からみれば、生産性、ひいては潜在成長率が高まることは予想できない、むしろ経済水準自体の低下もあり得る。それを補うのが技術革新や外国人労働力などになるが、手っ取り早いのは外国人労働力になる。ただし、GDPは就業者数と同1人当たり生産性の積になり、単に就業者数を増やすだけであれば、経済が成長しても実質的な日本国民の所得の向上にはならない。

 現在、外国人労働者で想定されている建設労働者であれば、一時的に経済が膨らむだけで、その後は元に戻ることになる。日本経済を支え、発展させる人材が必要だが、そのような人材が安倍首相が追求する「普通の国」の日本に魅力を感じるかどうかが問題になる。また、外国人が収入だけで働く国を決めるとしても、外国人エリートを優遇して好待遇にすれば、その下で働く日本人の勤労意欲が維持できるかどうか。

年齢階級別就業者数増減(前年比)の推移

経済の視点
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| 2014年06月30日 | 雇用 | comments(0) | - |
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