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消費税増税後の反動減は軽微か、スーパー販売額から見る

かなり前から消費税増税の景気への影響が話題になり、GDPの需要項目の中では全体の半分以上を占め、消費税増税の影響が大きい民間最終消費支出の駆け込み需要とその反動減に注目が集まっている。また、消費支出関連指標の日本チェーンストア協会や日本百貨店協会の統計は発表が翌月の20日頃と早いため、特に4月の販売実績がどうかを判断する材料として関心が高かった。

 最近のマスコミの景気に関する報道は、実態以上に景気を良いとし、政府寄りになっているように感じる。もともと、景気に対して責任を負っている政府は統計の発表に当たって、明るく見える部分を強調する傾向にある。それは仕方がないと思えるが、マスコミもそのまま報道していては存在意義が問われる。もちろん、マスコミに景気を判断する意志も能力もないため、政府の請け売りは仕方がないとしても、現政権下で以前よりその傾向が強い印象を受ける。

 4月の日本チェーンストア協会や日本百貨店協会の発表でも、消費税増税後の販売額の落ち込みは少なく、消費の反動減は予想ほどではないという報道になっている。当然、これらは政府の統計ではないが、業界団体は政府の意向に逆らうとは考えられず、統計発表に当たって政府の意向を反映させる可能性は否定できない。

 特に、百貨店販売額(日本百貨店協会、消費税を含まず)は4月速報が前年同月比で店舗数調整後で12.0%減、同前で12.5%減に留まり、前回の3%から5%に引き上げられた1997年より、3月の伸びは高く、4月は減少幅が少なかった。これから今回は増税の反動減は予想ほどでもなかったとする報道もある。これには問題がある。

 この16年間の百貨店販売の構造変化を考えていないからである。それは海外観光客、特にアジアからの観光客の影響である。百貨店販売額に占める海外観光客への販売額は不明だが、この間に中国に代表されるアジアの経済発展は目覚ましい。日中間の政治摩擦による中国人観光客の落ち込みが一巡傾向に加え、為替レートの円安効果もあり、最近、所得水準の向上したアジア観光客が急増していることはよく知られている。

 彼らは百貨店で貴金属や化粧品などを大量に買っており、その影響は無視できない。それを考慮すれば、増税の反動減は必ずしも軽微とはいえない。つまり、増税の消費への影響をみるのであれば、海外観光客の購入が少なく、2013年の年間販売額で百貨店の6兆円強に対し、約2倍の13兆円弱のスーパー販売額(日本チェーンストア協会、消費税を含まず)の方が実態を反映していると考えられる。

 3、4月のスーパー販売額で今年と前回の消費税増税が実施された97年を比較すると、店舗調整後で今回の9.7%増から5.4%減に対し、前回は8.4%増から4.6%減となっており、今回の方がこの間の格差が2ポイントほど高い。ちなみに、同調整前では同様に8.4%増と4.6%減、12.6%増と0.5%増で、格差はほぼ同じになる。1月から4月までは今回、前回の店舗調整後・前のいずれもほぼ同様の推移である。これらから判断すれば、少なくとも今回の方が消費税増税の個人消費への影響が軽微とはいえない。

 一方、今回と前回の比較では消費者物価の上昇率も無視できないと考えられる前回の消費者物価上昇率は前年同月比で97年1月0.6%増、2月0.6%増、3月0.5%増、増税後の4月1.9%増となっていた。これと比較すれば、今年の方が1ポイントほど高い推移だが、今回の方が物価面からは販売額を引き上げる効果が大きいという見方もできる。それでも、消費者物価の上昇率自体はそれほど高くはなく、物価を考慮しても、今回は諸費税増税の影響が大きいとまでは言い難い。

 結局、5月以降の販売額で判断するしかない。ただし、前回は輸出の減少が加わり、景気は97年5月がピークになっており、4月以降の何カ月も長期の推移をみても、それが消費税増税の影響かどうかは判断できない。個人消費は景気に対して遅行指標であり、一般的な景況感で不況を認識されるには数カ月かかることからことから考えれば、5、6月の販売額は消費税増税の影響とみて差し支えないであろう。

 スーパー販売額の前回は店舗調整後で5月4.6%減、6月5.1%減、同調整前でそれぞれ0.7%減、1.8%減となっており、4月水準と同程度の底這いであった。今回も同様に底這い、さらには減少幅が拡大、逆に減少幅が縮小するかで、前回との影響の比較ができる。

 結果として今回の消費税増税の影響が小さい可能性はあるが、現段階で小さいというのは単なる政府発表の受け売り、または政府に迎合しているか、統計数字を見る目がないかのいずれかになる。

消費税増税前後のチェーンストア販売額の推移(前年同月比)

経済の視点
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| 2014年05月30日 | 景気 | comments(0) | - |
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