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消費者物価の予想以上の高止まりは電気料金と世界的な異常気象

「消費者物価上昇は今がピーク」をタイトルにした昨年11月1日付けのこの経済レポートで、昨年9月の消費者物価物価上昇率の前年同月比で総合1.1%増、生鮮食品を除く総合0.7%増段階でほぼピークになるのではと予測し、1%台に乗るとは予想しなかった。現実は、異常気象による季節商品の生鮮食品の高騰は別として、生鮮食品を除く総合でも10月0.9%増、11月1.2%増、12月から今年3月まで1.3%増と一段と上昇した状態で、高止まり横ばいの推移である。4月からは消費税増税の影響があるため、3月段階でこの乖離の要因を考察したい。

 昨年10月末頃の時点で、^拌悒譟璽箸1ドル=100円の壁がなかなか破れず、円安がほぼ止まり、前年比伸び率は9月がピークに顕著に鈍化基調になる、原油価格も世界経済の回復力が弱く、1バレル=100ドル程度から弱含みの推移になっており、国際商品市況の上昇は予想できない、これらの結果として輸入物価による物価上昇圧力は止まる。

 一方、株高の恩恵を受ける層はあっても一部で、消費全体でみれば所得が伸びない状況では消費の低迷は続き、需要面から物価引き上げ要因はない。結局、輸入物価からの物価上昇圧力が一巡し、消費が回復しなければ、前年比上昇率はピークになり、下方に向かうという判断だった。

 ところが、現実は上昇率は高まり、かつその高水準で横ばいである。前回の経済レポートと現実の違いは、為替レートは11月以降、1ドル=100ドルを突破し、高い時には105円にまで円安になった。一方、原油はほぼ予想通りの推移で、為替レートの小幅の円安で消費者物価の一段高は説明できない。

 輸入物価指数(円ベース)の上昇率は昨年7月の前年同月比18.6%増がピークで、その後は12月の17.8%増まで上昇率はほぼ横ばいである。それでも、その後は下降傾向が明確になり、今年の3月は4.4%増にまで低下している。

 つまり、輸入物価からの上昇圧力は急速に弱まっているにもかかわらず、消費者物価上昇率は高水準横ばいを続けている。この要因を考えるために商品別にみると、上昇率の水準が高いのは光熱・水道、足元の短期的に上昇率が高まっているのは生鮮食品を除く食料になる。

 光熱・水道の上昇の中身は電気代、ガス代で、特に電気代が大きい。電気代は2010年8月から前年同月比でプラスになり、東日本大震災後は上昇に加速が掛かってきた。すでに原子力発電所が停止してから年月が経ち、原油価格の上昇が止まってきたため、電力料金の値上げが何時までも続かず、そろそろ一巡する時期と考えていた。

 現実には値上げが続き、これからも値上げを表明している電力会社もある。電力代の消費者物価指数に占める割合は3%強、ガス代を合わせても5%ほどでしかないが、流通・サービス業のコストアップ要因になるため、間接的な効果も含めれば消費者物価への影響は大きい。

 政府は物価上昇が良いことと思っており、また、電力料金の上昇が原発再稼働促進要因になるため、値上げに協力しているという穿った見方もできる。

 一方、生鮮食品を除く食料は一般的に注目されないが、昨年9月から上昇傾向にある。原因は世界的な異常気象である。国内も大雪の影響などで生鮮食品の上昇が長期化しているが、農業大国の米国やオーストラリアが異常気象に見舞われ、投機も含めて穀類の国際商品市況が上昇している。穀類は輸入物価指数に占める割合は小さいため、輸入物価指数にはあまり反映されなくても、消費者物価指数の2割強を占める生鮮食品を除く食料への影響は大きいと推測される。

 穀類は家畜の飼料にもなり、国内だけでなく、輸入肉の上昇にも繋がる。さらに、家畜では豚に流行性下痢が米国や日本で、また、国内で鳥インフルエンザが発生しる問題もある。農産物や家畜は生産が回復するまで時間が掛かるため、影響はしばらくの間は残ることになる。

 これら以外では、消費税増税前に駆け込み需要が発生しており、これで商品が値上げにはならなくても、本来なら値下がりする物が値下がりしないことで、間接的な物価引き上げ要因になった可能性はある。

 また、春闘賃上げはコスト上昇要因になるが、一部で高い賃上げがあっても、全体では高くても2%程度と推測でき、賃金コストからの物価上昇はほとんど考えられない。4月以降は消費税増税があるため、その影響を除いた消費者物価上昇率の基調は分かり難いが、季節商品を除いた総合の前年比で1.3%増をさらに大きく引き上げる要因は見当たらない。逆に、駆け込み需要効果が剥げ落ち、また、需要の反動減対策を考慮すれば、3月がピークになると判断できる。そして、その後は下降に向かっても、穀類や家畜の影響が残るため、穏やかな上昇率の低下の予想になる。

消費者物価指数で前年比上昇率が顕著な品目別推移

経済の視点
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| 2014年04月30日 | 景気 | comments(0) | - |
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