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消費税増税後の日本経済は中国経済次第

 4月1日の消費税増税に向けて駆け込み需要とその反動減が避けられないなかで、実施が近づくのに伴い、その後の景回復力、つまり落ち込みが一時的で済むかどうかに注目が集まっている。政府は景気の落ち込み対策として、公共投資の大幅増と早期発注に注力している。しかし、公共投資はその時だけの効果で、かつてのように公共投資が景気回復に繋がるまでは期待できないことは、長期不況下に何度も実施された景気対策で明らかになっている。

 前回の1997年4月実施の3%から5%への引き明け後、不況に転落したが、この事情に関しては 2010年8月1日付けのこの経済レポート欄で、以下のように解説した。

 実施前の97年1〜3月期は増税前の駆け込み需要で実質民間最終消費が2.0%増の高い伸びになり、逆に、4〜6月期はその反動で3.5%減の大幅減少になった。このため、実質GDPもこの間に0.9%増から0.8%減へと、プラス成長からマイナス成長に転落した。そして、7〜9月期の実質GDPも0.5%減と2四半期連続のマイナス成長になり、景気が上昇から下降へと転落した。

 このときの記憶から、消費税の増税が日本経済を不況化したという印象が強い。ところが、同期の実質民間最終消費は0.8%増に小幅でも持ち直していた。実質民間最終消費が持ち直しているにも関わらず、実質GDPがマイナス成長になったのは、97年7月に発生したアジア通貨・金融危機にある。この影響で実質輸出等が4〜6月期の3.9%増から、7〜9月期は1.0%減と、輸出が減少したからである。

 そして、実質輸出等が減少したことで、実質民間最終消費も10〜12月期以降は再び減少に向かった。結果、97年度の実質GDPはゼロ成長、08年度は1.5%減のマイナス成長に陥るほど、不況が深刻化した。加えて、当時はまだバブル崩壊の後遺症が残っていたため、97年11月には三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券など大手金融機関が相次いで経営破綻した。07年度はこれらの経営破綻と消費税増税が注目されるが、アジア通貨・金融危機があったことを忘れてはならない。

 このような事情に関しては今でも変わりはない。今回の12年4月(暫定)を山とする景気循環が輸出の減少で生じたように、内需が低迷している状態では、景気は海外景気、ひいては輸出の影響が大きい。つまり、今後の景気は輸出がどうなるかで決まるといえる。

 最近になって、前回の消費税増税後の不況化にアジア通貨・金融危機があるという指摘は目にするようになった。同時に、円高時の海外立地で円安にも拘わらず輸出が予想ほど増えないとして、悲観的な意見が目立っている。もともと、円高時に急に海外立地が進んでわけではなく、海外立地が進んだからといって、海外生産のための部品輸出もあり、輸出が止まるわけではない。それは徐々に影響が現れる現象で、短期的には輸出は海外景気の影響の方が大きい。

 これは最近の輸出数量指数の推移を国・地域別にみると明らかである。13年の景気回復の要因として、円安による輸出企業の収益改善、株高の消費拡大効果、政府の公共投資拡大、消費財増税への駆け込み需要などが挙げられるが、輸出の回復効果も無視できない。輸出回復が期待ほどではないとしても、世界全体の輸出数量指数は前年比で13年春以降、回復基調にあり、7月以降は一時的に減少があっても微減にとどまり、基調としてはプラス成長である。

 国・地域別では、まず米国が世界全体を上回る伸びになっても、大きく上回っているわけではない。製品別にみると、自動車の伸びは高いのに対し、TVを含む映像機器が不振である。米国の景気回復力が弱いこともあるが、それよりも円安にも拘わらず、日本製品、特に電気・電子機器の国際競争力が低下しているのが原因と考えられる。

 長期的に減少が続いていたEUは13年5月までは前年比で2桁台の減少だったが、その後は急速に回復に向かい、10月以降、前年水準を上回るようになった。11月を除いて世界全体平均を上回る伸びで、EUが最悪期を脱したことを反映している。

 アジアは米国景気の勢いが弱い影響か、基調としては伸びは世界全体平均を下回っている。ただし、アジアの中で中国は13年10月からは高い伸びで、特に11、12月と12年2月は20%台の異常ともいえる高い伸びである。尖閣諸島問題による日中関係の悪化で大幅に落ち込んだ反動増に加えて、中国で日本製の環境関連機器需要が盛り上がっている影響が考えられる。

 輸出数量指数の基準年の2010年で、輸出金額はアジアが世界全体の45%、うち中国がアジアの35%を占める。中国を除いたアジアの輸出数量指数は13年2月まで前年を下回り、中国への輸出増効果は無視できない。ところが、11月以降の中国輸出増効果は消費税増税への駆け込み需要効果に消されて注目されていない。

 米国経済が着実に回復力を高め、それによって直接、間接に日本の輸出が伸び、97年とは異なって景気後退を避けられれば、中国輸出への関心は高まらないままと推測できる。しかし、米国経済の回復中断はなくても、回復力が現在程度であれば、持ち直してきたEUは輸出全体の11%と少ないため、中国輸出に期待するしかない。中国経済も構造的問題を抱えているが、まだ相対的に高い成長が見込め、関係悪化で抑えられていたことを考慮すれば、当面は高い輸出の伸びが見込める。

 消費税増税後の日本経済は中国経済次第になる可能性も否定できない。不況が間近に迫ってから対中国政策を見直しても手遅れという事態は避けるべきと思うが。



国・地域別輸出数量指数の前年比伸び率の推移

経済の視点
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| 2014年04月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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