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企業収益増でも設備投資が増えない理由

 景気回復で企業収益の改善が進み、民間設備投資の回復が期待されている。ところが、足元は個人消費と同様に、消費税増税への駆け込み需要とウィンドウズXPのサポートの4月で打ち切りへの買い換え需要で盛り上がっていても、基調としては民間設備投資は収益改善でマイナスではないという程度の回復でしかない。足元が少し堅調に見えるだけで、期待が現実化したとして回復に楽観的な見方も出ている。

 民間設備投資は短期の景気循環、企業収益の動向の影響を受けるのは当然である。一方、10年程度の中期の景気循環も存在する。これは設備投資の更新によって生じる設備投資循環といわれるように、設備投資はパソコン購入・更新、店舗の新設のような小規模の投資は別として、大規模な投資は長期的な戦略から行なわれる。

 以前から、この経済レポートで為替レートと工場立地の問題に関して、企業は日本国内で生産して輸出する戦略から、輸出先の消費地立地へと移行していることを明らかにしてきた。つまり、為替レートに関係なく、市場としての国内の成長性が問題になる。企業が円安になっても国内で需要の増加が見込めなければ、国内投資に積極的にならないのである。

 人口(総人口)は2008年12月の1億2,810万人でピークを打ち、13年12月暫定値は1億2,727万人(以上総務省「人口推計」)と減少に向かっており、現在の人口政策を前提にすれば、今後は徐々に減少速度に加速が掛かる。

 もちろん、市場は人口で決まるわけではなく、経済規模による。経済規模の基盤になる所得は一部の投資家は別として、就業者数と1人当たり収入の積になる。少子高齢化による人口減になる以前から就業者数の減少は始まっている。ただし、就業者数は景気の影響を受け、また、就業者数の基礎になる労働力人口は15歳以上の人口のうち就業意欲のある人数だが、就業意欲も景気による就職可能性の影響を受けることに留意する必要がある。

 いずれにしても、高齢化すれば労働市場から退出するわけで、政策によってその速度は遅くできても、減少傾向になるのは避けられない。就業者数や労働力数(いずれも季節調整値、総務省「労働力調査」)のピークは総人口に先行し、就業者数は1997年6月の6,584万人で、一時は6,250万人台まで減少したが、13年12月は6,346万人まで戻している。同様に、労働力人口は97年7月の6,807万人から、6,534万人まで減少し、13年12月は6,591万人である。就業者数や労働力数は13年に増加していても、総人口よりも顕著な減少である。少子高齢化から判断すれば、今後もその速度は総人口を上回ると考えられる。

 一方、1人当たり収入はその大部分を占める雇用者所得が14年度に少しは増えると期待できても、長期的にはその可能性は少ない。これは名目所得で、税・保険料負担の増加や一時的でも物価上昇が見込まれることを考慮すれば、実質の可処分所得はむしろマイナス基調になる。となれば、就業者数と1人当たり収入の積の所得の伸びはマイナスになる。ただし、高齢化は年金収入を増やすため、全体として実質所得がマイナスとは断定できないが、国内の市場規模の拡大は期待しがたい。

 高齢化は別の問題もある。例えば、自動車産業は関連産業も含めれば国内で最大の産業になり、円安の恩恵を最も受けている産業である。ところが、国内の生産拡大には消極的である。乗用車の潜在需要は自動車免許保有者数で計られ、少子高齢化で人口が減少しても、「少子」年齢の人口は関係なく、免許対象人口が問題になる。 高齢化しても直ぐには免許を返上しない傾向にあり、一般的に返上は70歳代に入ってからと考えられる。結果、その影響の顕在化は遅れて現れる。警察庁統計の運転免許保有者数は12年まで発表され、すでに男性は09年の4,554万人でピークになり、12年は4,544万人まで微減でも減少している。ただし、女性が増えているため、全体では12年まで増加している。女性の増加だけではすでに頭打ち傾向で、数年先には減少が予測される。この問題はまだ話題になっていないようだが、構造的問題として注目を集めるようになろう。

 いずれにしても、運転免許保有者数が減少すれば、所得とは関係なく乗用車需要が減少するのは確実といえる。つまり、消費地立地を原則にすれば、国内生産は縮小に向かうと予測され、国内投資に積極的でないのは当然である。円安の恩恵の大きい自動車でこのような構造的問題を抱えていることからも、民間設備投資が盛り上がりに欠けるのは当然である。現実を見ないで期待しても裏切られるだけで、冷静な実態分析が必要である。

 東北地方の復興投資、景気対策による公共投資の増加で、建設労働者不足懸念から外国人労働者の導入が話題になっている。外国人労働者の導入は別の問題があり、日本は導入に消極的である。これらから外国人労働者は労働力の面だけでなく、市場面からの評価も検討に上ると考えられる。



総人口、労働力人口、就業者数の推移

経済の視点
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| 2014年02月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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