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消費者物価上昇は今がピーク

 9月の消費者物価上昇率が前年同月比1.1%増と、2008年11月の1.0%増以来、約5年振りの1%台上昇率になった。脱デフレを消費者物価上昇率に求める人には朗報だが、あまり評価する声は聞こえない。「生鮮食品を除く総合」では0.7%増に上昇率は下がり、さらに「食品(酒類を除く)とエネルギーを除く総合」になると、前年同月と同じに留まる。つまり、夏の異常高温と残暑による生鮮食品の高騰とエネルギー価格上昇を除けば、脱デフレと言えないことがその理由になる。

 08年は世界的なバブル景気による原油や穀物価格の上昇がリーマンショックで一巡し、消費者物価上昇率が下降に向かう中での11月の1.0%増で、食品(酒類を除く)とエネルギーを除けば横ばいであった。今回とは下りと上りの方向が逆になるが、今回はそろそろ上昇はピークを打ちそうである。

 その理由は為替レートにある。今回の物価上昇は原油価格が世界経済の持ち直しで12年後半頃から上昇を始め、そこに政権交代期待とその実現で年末頃から為替レートが円安に転じ、異常気象が加わったのが物価上昇要因である。

 ところが、米国は金融緩和政策の転換を決断できないように、米国経済の回復力は弱い。また、EUもようやく底入れといわれる段階で、世界経済の回復はもたついており、シリア情勢も欧米の参戦が避けられる見通しになったため、原油価格はバレル当たり100ドルを上回る水準から、10月は徐々に下方に向かっている。

 もともと、原油価格は変動はあっても11年央からほぼ高水準の横ばい圏である。消費者物価上昇の要因として取り上げられるエネルギーの高騰は、為替レートの円安による。為替レートは政権交代期待が現実化し、かつ異次元の金融緩和で、月平均では12年9月の1ドル=78円を円高のピークに徐々に円安基調になり、年明け後は円安に加速が掛かった。しかし、円安傾向が長期化することはなく、5月の1ドル=100円台を円安のボトムになり、その後は一時的現象は別として100が円安の壁になっている。

 この間の20円ほどの円安が原油のドル建て国際価格はほぼ横ばいであっても、国内エネルギー価格を引き上げている。つまり、この間の消費者物価の上昇要因は基本的に円安にあり、そこに季節的要因が変動として加わる構造である。本来の脱デフレ、つまり需給の均衡化にはまだ遠いというのが実態である。

 現状では、円安が再加速する状況にはなく、原油も含めて国際商品市況も弱含み、少なくとも安定と予測される。円ベースの輸入物価指数の前年同月比上昇率は9月まではまだ高い伸びでも、前年の10月以降に円安が加速していたことを考えれば、7月の18.7%増がピークと判断できる。輸入物価からの消費者物価上昇圧力は低下すると考えられる一方、10月は台風の影響で生鮮食品の一段の上昇も予想される。このため、9月と同程度の消費者物価上昇率になる可能性はあるが、消費者物価上昇率は今がピークになり、11月には縮小傾向が明確になろう。

 中東に問題が生じて原油価格高騰というような異常事態は別として、国際商品市況が安定していれば、輸入物価が消費者物価上昇圧力なるには再度、円安になる必要がある。少しは物価上昇期待が雰囲気として広がっているとしても、現状が「食品(酒類を除く)とエネルギーを除く総合」の上昇率は横ばいであることを考慮すれば、前回と同程度の20円ほどでは政府の求める2%上昇には全く不足と考えられる。そして、それ以上の円安が実現する状況になれば、それはそれで別の問題を抱えることになる。



消費者物価、輸入物価、原油価格、為替レートの推移(前年同月比)

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| 2013年11月02日 | 政策 | comments(1) | - |
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コメント
投稿者:- (2014年01月01日 05:17)
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