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貿易と同様に海外立地企業数でも1位の中国市場

 日本政府による尖閣諸島の国有化を契機に、中国での反日運動が盛り上がりをみせ、経済面への影響に関心が高まっている。この問題を取り上げる場合、中国(中国本土)への輸出が2011年度で約12兆円、全体の19.1%を占め、米国の約10兆円を上回る第1位の最大市場になっている。さらに、輸入は中国が約15兆円、同21.2%、米国の約6兆円を2倍以上も上回る第1位、当然、輸出入合わせた貿易額でも突出した第1位であることを指摘する例が多い。

 また、日本企業の中国現地工場や商店などが破壊された事件も取り上げ、日本企業は「中国進出を再検討するのでは」や「脱中国に向かうのでは」とみる意見は多いが、それが現実に可能かどうかの検討はされない。少なくとも経済産業省「海外事業活動基本調査」を利用して、日本企業の中国進出の実態を分析する必要がある。「海外事業活動基本調査」の精度に問題はあるが、大枠は把握できる。

 まず、最新の第41回海外事業活動基本調査(2010年度実績)の海外現地法人企業数をみると、全地域1万8,599法人のうち、中国本土(以下中国)だけで4,619法人、全地域の24.8%と4分の1を占める。香港の946法人と合わせれば5,565法人になり、海外の日系法人の3割ほどが中国に存在する。これは第2位の米国の2,649法人の2倍以上になり、中国に進出している企業が多いことをうかがわせる。

 ただし、現地法人の売上高(回答法人数は全地域1万6,194法人、中国4,299法人、米国2,189法人)は全地域約183兆円、米国約48兆円、中国約26兆円で、売上高では中国は法人数より10ポイントほど低い14.3%に留まる。平均売上高では中国は米国の3分の1程度に留まる。米国は現地市場に販売するための卸売業売上高が約22兆円、米国での売上高の45%を占め、これが全体を引き上げている。

 中国進出の特徴を業種別でみると、全地域に占める割合で法人数は合計の24.8%に対して、製造業33.8%、非製造業17.4%となっており、相対的に製造業、つまり工場が進出している。それでも、中国への各業種で幅広く進出しているのが特徴といえる。

 非製造業の中では小売業が23.8%と高く、中国の消費者への販売を目的とする進出も活発といえる。これから考えれば、製造業の進出も中国からの輸出だけでなく、中国市場での消費財販売を目的とする進出も少なくないと推測される。

 中国の全地域に占める法人数と売上高の割合が乖離している要因としては、金属製品、はん用機械、業務用機械などは乖離が少ない。乖離が大きいのは1.相対的に中国での製品が低価格品、2.進出企業が中小企業で企業規模が小さい、3.中国への進出は比較的新しいため、生産活動がまだ本格化していない、等が挙げられる。

 うち、どの要因が大きいかは海外事業活動基本調査で日本本社の規模別の進出先国別統計が発表されていないため、これだけでは判断できない。それでも、中国への進出企業が増えたのは最近で、その中心は資本金5千万円以下や5千万円超1億円以下の企業であることから推測すれば、中国進出は△涼羮企業が多いのが主因で、それに1.や2.の要因が加わっていると考えられる。

 とすれば、資本力や人材の面で余裕の少ない中小企業が「中国進出を再検討するのでは」や「脱中国に向かうのでは」と考えるのは、中国進出計画中の企業では可能であっても、既に進出しているところでは容易とは思われない。また、中国工場が輸出基地であれば、他国への工場移転は比較的容易といえても、中国市場での販売のための現地のニーズに合った製品供給が目的であれば、世界第2位の経済規模に成長し、かつ経済成長率が今後も高いと予測される中国市場からの移転は難しい。このようなことを踏まえた議論が必要である。

主要業種別海外の法人企業における中国の割合(2010年度)


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| 2012年09月30日 | 貿易 | comments(0) | - |
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