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景気のピークは2012年3月?

 消費税増税法案が成立した。今後は増税実施への影響は不明だが、「景気条項」との絡みで景気論争が激しくなると予想される。景気はピークを過ぎたと考えられるが、政府の8月28日発表の8月の月例経済報告でも「景気は、このところ一部に弱い動きがみられるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある」という表現になった。

 7月までの「景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある」から、「一部に弱い動きがみられる」と悪化を示す文章が加わったことに注目が集まっている。政府の景気判断が弱い表現になったが、経済政策に責任のある政府はなるべく明るく見る傾向にあり、下降期の景気判断は悪化を後追いする「遅行指標」になる。つまり、それだけ現実の厳しさを認めざるをえなくなったといえる。

 この直後の8月31日発表の7月の鉱工業生産指数速報値は前月比1.2%減のマイナス成長になった。前月の7月製造工業生産予測は4.5%増であったので、大幅な下方修正である。また、8月製造工業生産予測は0.1%増のほぼ横ばいの後、9月は3.3%減の大幅マイナス予測である。7月速報値は4〜6月期比では2.0%減であり、4〜6月期に4四半期振りに2.0%減のマイナス成長になったのに続いて、7〜9月期も2四半期連続のマイナス成長がほぼ確実になり、かつ、マイナス幅の拡大が予想される。

 この7月の鉱工業生産指数速報や8、9月の生産予測の内容は、8月の月例経済報告作成時には少なくともだいたいの状況は分かっていたと推測され、それを受けて景気判断を弱くしたと考えられる。つまり、政府としては出来るだけ経済状況は明るく表現したくても、実態を隠せなくなったためである。

 生産が減産に向かっている原因は輸出環境の悪化に加え、前々回のこの経済レポートで取り上げたエコカー補助の乗用車需要効果が予想よりも弱かったことにある。この駆け込み需要で補助金が早ければ8月にも底をつくと言われていたのが、9月でも終わるかどうかという見方も出ている。それだけ予想以上に乗用車需要の基調が弱く、駆け込み需要が息切れしたことを示している。

 正社員であっても所得は増えず、大企業のリストラが進んでいる状態で、社会保険料の引き上げに加えて消費税増税で、顕著な可処分所得の減少が確実に予定されていれば、基本的に消費を増やす選択は考えられない。9月からの東京電力の料金値上げもユーザーの大きさから考えれば消費への影響は無視できない。

 もちろん、このまま減産傾向が続き、景気がピークを打って下降に向かうかどうかは今後の景気次第になる。鉱工業生産のマイナス成長が2四半期で終わり、底入れから回復に転じれば、一時的な景気のもたつきで済む。ただ、8、9月の生産予測から9月の生産水準が低くなると判断され、10月以降の生産回復が急速にならなければ、10〜12月期の生産も前期比マイナス、つまり3四半期連続のマイナス成長になるのは避けられない。

 過去の景気循環で最短の後退期間は第2次大戦直後を除けば9カ月間である。今回の先行ピークは季節調整によるが2012年1月か3月になり、12月までに生産の回復傾向が明確になれば、景気後退と判定されない可能性が高い。

 生産が年内に回復に転じ、景気後退が避けられるかどうかは、内需に明るい材料が見当たらない環境では輸出次第になる。欧州の経済危機は短期的には解決できず、その影響を中国が受け、米国も国内矛盾を抱えて景気指標の発表のたびに一喜一憂している状態では、世界景気、ひいては輸出に力強い回復は期待できない。内外需共に見込めなければ、景気後退が現実になり、それが明確になるのは来年度の経済見通しに注目が集まる年末頃と予想される。

 消費税増税法案の実施までにはまだ時間があっても、景気がこのような状態になれば、来年度の通常国会で「景気条項」をどう判断するかが議論になる。力強い景気回復になれば問題はないが、その可能性は小さい。回復力が弱い状態では増税が景気回復の腰を折る懸念があり、増税実施を避けるのが望ましい状況になると思われる。

鉱工業生産指数の推移


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| 2012年09月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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