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エコカー補助金と米国輸出が支える景気

 欧州財政危機が中国をはじめBRICs、途上国に波及し、世界的に景気停滞感が強まるなかで、日本の景況感は比較的良好といえる。海外と日本でずれが生じているが、その要因として、日本経済に占める比重の高い自動車生産が比較的好調なことが挙げられる。自動車生産は昨年の東日本大震災に続いてタイの洪水の影響による減産から脱しているところに、環境対応車(エコカー)購入への補助金と自動車重量税と自動車取得税の減税の政策効果が加わり、増産が続いている。

 しかし、政策効果が永久に続くわけではない。政策効果一巡後の反動減が予想され、秋以降の自動車生産、ひいては日本経済が懸念される。同様の政策が実施された2010年度の経験では、反動減が大きかった。このため、生産を維持するには輸出頼りになるが、海外環境も厳しいからである。

 足元の自動車生産は4月80万台、5月78万台、前年同月比ではそれぞれ2.7倍、6割増、4、5月合わせて2.0倍の高い伸びである。ただし、前年が東日本大震災直後の大幅減産時であり、この4、5月の伸びが高くても生産水準が高いとはいえない。それでも、東日本大震災の影響を脱し、順調な回復傾向といえる。関連産業への波及効果の大きい自動車生産の回復が景況感の改善にかなり貢献していると推測できる。

 自動車生産の現状は順調でも今後が問題で、内外需共に厳しいと予想される。まず、国内販売では4月から始まったエコカーへの補助金と減税、特に補助金への駆け込み需要が大きい。この補助金の予算を8月にも使い切る見通しになっており、その後の減少が予想される。

 10年度にも同様の政策が採られたが、この時は補助金を9月に消化してしまった。結果、減税は残っても前年同期比で10年4〜6月期20.8%増、7〜9月期13.7%増の高い伸びから、10〜12月期は24.7%減と一転して大幅減少に陥った。補助金や減税によって実質価格が安くなれば駆け込み需要が発生し、その後は反動減になるのは当然の現象である。前回の例から考えれば、9月以降の需要の落ち込みは大きいとみなければならない。
 一方、輸出はリーマンショック後の世界不況から脱してきたことから、10年前半までの前年水準が低いことによる異常な伸びは一巡しても、11年2月までは前年比2桁台の伸びになっていた。それが東日本大震災による減産で、11年8月まで輸出は減少を余儀なくされた。その後は生産が回復するのに伴い正常化し、11年9月からは前年水準を上回るようになった。12年4、5月は10年の水準を上回っており、いまのところ欧州財政危機の影響は軽微といえる。

 理由は輸出の約3割を占める最大市場の米国の回復基調に変調がみられないことにある。米国経済は回復力に力強さに欠けるが、リーマンショック後に低迷した乗用車需要が正常化するだけで需要は伸び。また、原油価格が値下がりしていることもプラス要因になる。米国経済も欧州財政危機の影響と無縁とは思えないが、穏やかでも成長していれば、日本の自動車輸出は高い伸びにはならなくても、減少はしないと考えられる。

 11年度の輸出443万台に対し、国内販売は475万台、輸出を7.2%上回っているだけで、内外需はほぼ同程度である。これから考えれば、補助金終了後の国内の落ち込みを輸出で補い、9月以降も自動車生産が横ばいを維持することも難しく、減産に転じる見通しになる。

 世界経済に期待できない状況では、日本経済は秋以降、厳しい状況を迎えることが予想される。
自動車生産・販売・輸出の推移


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| 2012年07月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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