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2012年度は公共投資主導の穏やかな景気回復

 今年も来年度の経済見通しが話題になる時期になった。内閣府の2011年7〜9月期の2次速報値発表を受けて、民間の主要予測機関の12年度日本経済見通しが出揃った。7〜9月期2次速報値の実質GDP成長率は前期比1.4%増と1次速報値の同1.5%増から僅かだが下方修正になった。

 また、財政危機のEUをはじめ世界経済の雲行きが怪しくなり、12月1日付けのこの経済レポートで指摘したように、輸出に悪化の兆しがみられ、景気後退にまでに至るかどうかは別として、年度下期は回復力に期待が持てなくなっている。輸出の悪化は企業収益に波及し、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」の12月調査で、11年度下期の企業収益は増益から減益へと下方修正になっており、民間設備投資を抑制する効果を持つ。もちろん、個人所得から個人消費にも影響する。結果、11年度のGDP成長率はマイナス成長が避けられなくなっている。

  各予測機関の11年度経済見込みは、実質で0.5%前後、名目は2.0%台前半のいずれもマイナス成長である。1年前の各予測機関の11年度経済見通しは実質で0.3%増から1.6%増、名目で0.5%減から0.8%増だった。11年度は東日本大震災があったため、結果が1年前の見通しを下回っても、見通しを誤ったとはいえないが、世界経済の変調を予測していた機関はなかった。

 結局、08年の金融危機の後遺症を楽観視していたことになる。米国やEUに力強い回復は予測しなくても、穏やかな回復を予測しており、これであれば、実質GDP成長率はマイナス成長にならずに済む可能性がある。ちなみに、各予測機関の今回の11年度実質輸出はゼロか微減だが、1年前には5%前後の増加を見込んでいた。東日本大震災で輸出できなかった問題もあるが、これは一時的であり、世界経済の影響の方が大きいと考えられる。

 各予測機関の12年度経済見通しは名目GDPが0.8〜2.0%増、実質GDPが1.7〜1.9%増のいずれもプラスの低成長で、かつ、乖離が小さいのが特徴といえる。乖離が小さいのは世界経済、日本経済に関してのシナリオがほとんど同じだからである。

 世界経済は。釘佞郎睫慨躓,任睇垓靴枠鬚韻蕕譴襪、11年後半から12年後半に不況に陥っても、その後はユーロ安効果で輸出主導の回復になる、∧胴颪郎眄の問題はあっても穏やかな回復が維持される、C羚颪鬚呂犬瓩箸垢詒展途上国は欧米経済の影響で成長率が低下しても比較的高い成長になる、ということで基本的な差はない。為替レートは現状の1ドル=70円台後半の水準とほとんど変わらない推移で、実質輸出は1〜5%程度の比較的低い成長に留まり、輸出主導の成長が期待できないことがある。

 世界経済が低成長であれば、国際商品市況は値下がりし、かつ、為替レートが横ばいを前提にしていることで、輸入面からの物価上昇圧力はない。このため、消費者物価(生鮮食品を除く総合)は国内のデフレ状態を反映して微減になる。

 内需は民間に牽引力を見込める分野はなく、震災復興投資で公的固定資本形成(公共投資)主導の成長見通しになる。公共投資は5〜9%増を予測している機関が多い中で、農林中金総合研究所は23.1%増を予測している。これだと金額では5兆円程度の増加になり、実質GDPを1%ほど引き上げる効果がある。農林中金総合研究所の実質GDP成長率予測は1.7%増となっており、他の機関並みの公共投資の伸びしか実現できなければ、実質GDP成長率は1%を下回ることになる。

 また、海外経済は予想以上に改善になるよりも、深刻化の可能性を指摘するところもある。成長率を予想以上に引き下げるマイナス要因は挙げられても、プラス要因は考え難く、12年度は予測機関の見通しが実現すれば良いという結論になる。一方、政府の経済見通しは実質GDP成長率2.2%増、名目GDP成長率2.0%増は民間よりも楽観的になり、それを実現するには公共投資の執行を地方も含めて確実に進める必要がある。

 今回の12年度の各予測機関の見通しは公共投資は別として、2年前の10年度見通し、1年前の11年度見通しと基本的には同じである。つまり、同じような低成長シナリオでしか世界経済、日本経済を予測できないのは、経済構造の限界か予測機関の思考硬直化のいずれかになる。後者の方は実態がより良くなる可能性があり、まだ世界経済、日本経済に希望が持てる。

2012年度の経済見通しの主要項目別一覧


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| 2011年12月29日 | - | comments(0) | - |
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