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家庭の節電効果を考える

 5月1日付けのこのレポートで、需要面からみて東京電力の夏の計画停電の心配はないと書いたが、予想以上に需給に余裕が生まれている。企業は15%の電力削減が強制されているのに加え、家庭でも節電が進んでいることにある。


 家庭の電力需要動向は従量電灯で分かるが、夏・冬期は気象条件で大きく変動する。このため、気象の影響が少ないと考えられる春・秋頃の電力需要が家庭の節電効果を判断するのに適している。ただし、今年の4月は計画停電で電力供給が中断されているため、4月の統計は節電効果の資料としては適さない。


 また、電力会社別にみる場合、東北管内は地震や津波による家の崩壊、放射能汚染による避難所への移住、東北地域から他地域への移住などがある。結果、東北の需要統計は過去との比較ができない。もちろん、東京管内が多いと推測されるが、東北からの移住先の需要を膨らませるが、統計に影響するほどではないと考えられる。


 5、6月の従量電灯は電力事情を反映して地域間格差は大きい。5月は前年同月比で東北は別として、電力不足が懸念される東京の13.0%減のマイナスが最も大きく、最小は沖縄の1.5%減で、全国では8.9%減になる。6月は需要が増加傾向になり、沖縄の2.6%増と北海道の1.5%増はプラスである。東北を除いて最も少ない東京でも6.3%減に留まり、全国では4.9%減と減少幅は半減である。


 従量電灯の減少、節電は今回のように電力不足懸念からだけでなく、景気悪化で先行き不安からも生まれる。6月は徐々に電力不足に対する節電意識だけでなく、関東大震災による景気の先行き不安が薄れてきたといえる。それでも、東京だけでなく電力不足が懸念され始めた関西、中部以外の北陸、中国、四国なども軒並み3〜6%台の顕著な減少である。景気の先行き不安を考慮しても、沖縄は別として、全国的に節電意識が高まっている影響と推測できる。


 また、逆に好況になれば、従量電力需要が増えることが予想できる。この点に関しても、景気の先行き不安が解消に向かいつつあるとしても、好況という事態にまで改善するのはかなり先になる。むしろ、経済成長率の高い発展途上国は物価上昇問題を抱え、米国やECも楽観できる状態になく、為替レートの円高も考えれば、回復の頭打ち、再下降の可能性もある。


 これらから判断すれば、企業に15%節電が義務づけられている東京だけでなく、関西も電力不足の心配はないという結論になる。従量電灯は不況で節約が進む時は別として、基本的に電化の進展で増加基調にある。6月は生産活動が急速に回復に向かい、景気不安は解消に向かいつつある時期で、従量電灯の減少は電力不足に対する節電を反映した電力需要と考えられる。


 ちなみに、2010年度の従量電灯は最も伸び率が低い北海道で0.8%増、高い東京は猛暑を反映して7.6%増、全国で5.8%増と比較的高い伸びになった。これは猛暑効果に加えて、不況の09年度が北海道の0.5%増を除いて減少で、全国では2.5%減になった反動増もある。


 家庭の節電効果の推計は5、6月の従量電灯需要だけでは難しいが、7、8月の実績が分かっても、気象要因があるため同様に容易ではない。5、6月の実績から判断すれば、東京でも10%までには至らないが、1桁台の後半、その他の地域でも沖縄を除いて5%前後の節電効果があるのではないか。それだけ各家庭が節電努力していることは評価できる。


電力会社別電力需要量の前年比伸び率

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| 2011年08月01日 | 政策 | comments(0) | - |
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