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日本銀行とOECDの日本経済見通しのどちらの可能性が高いか


 日本経済は東日本大震災で2011年度はマイナス成長に陥るのではという悲観的な見方が強まっている。これに対し、日本銀行は2011年度実質GDP成長率見通しを4月28日、各政策委員の見通しの0.5%増〜0.9%増から、中央値の0.6%増と発表している。1月段階では、これが1.6%増であったのと比較すると、1ポイントの下方修正だが、それでも高過ぎるという批判は強い。日銀が低い見通しを発表できない背景として、低いと金融政策に影響するという事情がある。


 現実に、内閣府が5月19日に発表した11年1〜3月期の第1次速報の実質GDP成長率は、震災前には低い伸びでもプラス成長が予想されていたが、前期比0.9%減と、10年10〜12月期の0.8%減に続いて2四半期連続のマイナス成長になった。1〜3月期の震災の影響は単純計算で90分の20の2割ほどである。4月以降、徐々に震災の影響から回復に向かっても、6月段階でもまだ影響は残る見込みで、4〜6月の実質GDP成長率はマイナス見通しになる。例えば、輸出数量指数はは前年度月比で3月の3.3%減から、4月は11.6%減になった。4月を底に持ち直しても、4〜6月期は1〜3月期より低水準になるのは確実といえる。


 これを受けて、OECDは日本経済の11暦年の実質GDP成長率見通しを4月21日発表の0.8%増から、5月25日に0.9%減と大幅に下方修正した。日本銀行は年度、OECDは暦年の違いがあり、1〜3月期がマイナス成長であったのを考慮すると、7〜9月期以降の回復を見込めば、暦年より年度の方が成長率は高くなる。つまり、日本銀行がOECDより成長率が高くても可笑しくはないが、この差は大き過ぎる。そこで、日本銀行とOECDの見通しが実現するには今後、どの程度の回復が必要かを計算し、その実現性を考えてみる。


 4〜6月期は2ヵ月ほどが過ぎ、統計は一部の4月分が発表されている程度でも、震災の影響が本格化するためにマイナス成長が見込まれる。各予測機関の見通しでは前期比0.5〜1.0%ぐらいのマイナス成長と推測されている。


 まず、4〜6月期を相対的楽観になる前期比0.5%減として、OECDの見通しの可能性を計算してみる。それには、世界経済に懸念材料はいろいろあっても、着実に回復軌道を歩む、つまり、日本の輸出は設備の正常化に伴って順調な拡大がつづくことが前提になる。


 10暦年の実質GDPは539.9兆円で、11暦年の前年比0.9%減は535兆円になる。1〜3月期第1次速報の実質GDPの季節調整値年額(4半期の4倍)は534.9兆円で、ほぼこの11暦年見通しと同じになる。これから、前期比で4〜6月期が0.5%減であれば、7〜9月期、10〜12月期が前期比0.5%増の回復速度で達成でき、十分可能性はある。むしろ、0.9%減見通しはやや厳しいといえる。また、4〜6月期が1.0%減であれば、7〜9月期、10〜12月期が前期比1.0%増で達成でき、落ち込みが大きい分だけ、回復速度も速くなると考えれば、十分あり得る。


 次に、日本銀行の11年度見通しは10年度の538.9兆円から、0.6%成長は541.7兆円になる。同様に、前期比で4〜6月期を0.5%減とすれば、OECDの0.9%減ペースと同じ7〜9月期以降3四半期が0.5%増の成長で計算すると、0.4%減のマイナス成長になる。0.6%増の成長を実現するには3四半期が1.2%増、年率では5%近い高成長を続けなければ達しない。さらに、4〜6月期を1.0%のマイナスとすれば、3四半期の成長率は1.6%増、年率6.6%も必要になる。


 需要項目別にみると、政府には復興のための公共投資が求められるが、本気でどこまで取り組むか不明である。民間設備投資は復旧のためには必要でも、リスク分散から海外立地も睨むようになれば、大幅な増加は予想できない。また、GDPに占める比重の高い民間最終消費は企業収益の悪化によるボーナス減、雇用悪化を考慮すれば、マイナスでなければ良しとする程度である。


 結局、輸出頼みになり、生産が回復すれば、輸出先の在庫が減少していることから考えれば、急回復が期待できる。ただ、各企業の発表では完全回復は夏から秋頃になり、7〜9月期の実質GDP成長率はプラスになっても、それほど高い成長率は予測できない。とすれば、年度下半期の成長率はより高くならなければ、0.6%成長は実現できない。つまり、11年度の実質GDP成長率0.6%増の実現は難しいということになる。


  それよりも、4〜6月期が0.5%減で、11年度がプラス成長になるには、次の3四半期の成長率は0.8%増以上必要になる。これからみれば、11年度がマイナス成長でも不思議ではないが、年度下期は震災で落ち込んだ反動増を期待できるため、プラス成長の可能性は十分ある。それでも、0.6%成長までは無理で、さらに4〜6月期が1.0%減にまで落ち込めば、プラス成長の可能性は遠のく。


 OECDは4月21日から5月25日の1ヵ月の間に大幅に下方修正した。これから日本銀行も同様の判断を下す可能性も否定できないが、金融政策への影響を考慮すれば、できるだけ見直しはしないと推測できる。


実質GDP実質額と見通し


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| 2011年05月29日 | 景気 | comments(0) | - |
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