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2011年度の日本経済見通しで、景気後退予測はないが

 内閣府が12月9日に発表した2010年7〜9月期の第2次速報値で、実質GDP成長率を第1位次速報値の前期比0.9%増から1.1%増へと上方修正した。この発表を受けて、1〜2日以内に民間の主要予測機関、政府は22日に11年度日本経済見通しを発表している。


 7〜9月期の実質GDPは乗用車への補助金終了に伴う駆け込み需要増、猛暑などの効果があり、比較的高い成長率になった。逆に、10〜12月期の実質GDP成長率はその反動減でマイナスが予想される。それでも、7〜9月期までの順調な回復から、10年度のGDP成長率は実質で3%程度の比較的高い成長、名目で1%程度のプラス成長が見込める。


 1年前の各予測機関の10年度経済見通しは、実質で0.1%減から1.7%増、名目は2.5%減から1.0%増であった。結局、低い成長見通しは当然、高い方のいずれの予測機関も今回も見通しは外れた。実態は予想以上に回復力が強かったことになる。


 内需は民間最終消費(個人消費)が10年度下期に乗用車に加えて家電のエコポイント需要の反動減が避けられないが、各機関の見通しは共に10年度全体を通せばプラスの政策効果で1%前後の伸びになっていた。ほぼ経済見通し通りである。


 見通しが低すぎた要因は輸出等(財貨・サービスの輸出)にある。1ドル=80円台への為替レートの円高見通しは日本総合研究所だけで、その他はいずれも90円台にしていた。これを考慮すれば、輸出等の判断の誤りはより大きくなる。各予測機関の経済見通しでは、輸出等は10%増前後、円高の日本総研は4.5%増であったのに対し、実績は20%近い伸びが見込まれる。要因としては、米国経済や中国経済への判断は間違ってないため、現地在庫調整に伴う輸出回復力を小さくみていたことになる。


 11年度経済見通しでは、予想される10年10〜12月期のマイナス成長が景気後退への入り口になる、つまり、景気が10年7〜9月期にピークになるかどうかが焦点になる。政府は当然だが、各予測機関の経済見通しはこのマイナス成長は一時的で終わり、10年度下期の景気は踊り場状態を迎えるだけで、後退になるという見方はない。


 この影響は11年度のGDP成長率見通しに現れ、政府も含めて各予測機関の見通しは10年度の実績見込みを下回り、実質で0.3%増から1.6%増、名目はいずれも実質よりも低く、0.5%減から0.8%増の低成長である。これはたまたまであろうが、前回の10年度経済見通しと同様の成長率である。ちなみに、11年度の実質GDP成長率を0.3%増と最も低くみている日本総合研究所でも、10年度下期から11年度にかけて「『足踏み』状態が続く」としており、景気後退という判断はしていない。


 11年度が低成長になる要因は、個人消費と輸出等にある。個人消費は乗用車や家電の需要減でほぼゼロかマイナス成長になる。このため、民間設備投資は回復基調が続き、民間住宅投資が回復に転じるプラス要因はあるが、内需全体としてマイナス成長にはならなくても、一段と成長率が低下する。


  海外経済に関しては、米国は引き続き穏やかな回復になり、中国は金利引き上げでも、高成長基調は変わらず、大きな変化はない。また、為替レートは現状の80円台前半での推移か、やや円安に転じ、現状以上の70円台への円高を予想している予測機関はない。海外経済の成長を受けて、11年度も輸出主導の成長が続くが、輸出等は10年度の20%近い伸びから、1桁台半ば程度の伸びに鈍化する。


 このため、内外需の成長性の低下で、11年度の日本経済は低成長見通しになる。GDP成長率では格差がみられるが、基本的な内外の経済見通しの基本的な路線に差はない。以前からこの欄で書いているように各予測機関の見通しが一致するときは外れるという格言から判断すれば、11年度もそうなる可能性が高い。その場合、現実はより厳しく、景気後退が予想される。短期の景気循環は生産活動に現れ、すでに7〜9月期実績は前期比マイナスで、10〜12月期も同マイナスが見込まれ、もし、11年1〜3月期も同マイナスになれば、景気後退になると予想される。経済成長率では10年度への影響は軽微で、11年度が名目はもちろん、実質もマイナス成長になる。それは11年2月、遅くとも3月になれば、明らかになる。


2011年度経済見通し一覧

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| 2010年12月26日 | 景気 | comments(0) | - |
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