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景気後退の可能性高まる
日本経済は2009年1〜3月期を底に、力強さには欠けるが、着実に回復軌道を歩み、景気の底入れから1年半ほど経過し、一般的にも景気回復が認められるようになった。ところが、為替レートの円独歩高から景気後退の懸念が生まれ、そのような認識を示さない政府や日本銀行に対する批判が強まっている。現実は、円高とは関係なく景気後退の可能性が高まっており、円高はその可能性をより強めているといえる。
景気後退の要因の一つとして、2010年4〜6月期の実質GDP成長率(第1次速報)が前期比0.1%増に留まったことも挙げられている。これは家電エコポイント終了で民間最終消費が微減になった影響と考えられ、家電は改良品開発や眼鏡無し3Dテレビのようの新製品開発による需要開拓の余地があり、一時的現象で終わることは期待できる。それよりもその余地の少ない自動車補助金が遅くとも9月末で終了する影響の方が大きい。つまり、民間最終消費が自動車の駆け込み需要と猛暑効果もあって7〜9月期に回復した後、10〜12月期に顕著な反動減が見込まれる。
一方、政府や日本銀行が景気の現状に対してもまだ比較的楽観的なのは、政治的な判断を除けば、輸出がまだ比較的高い伸びをしていることにあると推測される。今回の景気回復は、内需では家電エコポイントや自動車補助金で個人消費が弱いながらもプラスを維持してきた。それよりも景気をけん引してきたのは外需で、中国・アジアを中心に輸出が急伸してきたことにある。これを受けて輸出産業の収益が改善し、民間設備投資にも動意がみえ始めてきた。
ところが、表面的には輸出の高い伸びが続いているように見えるが、早くも輸出に頭打ち傾向がみられる。輸出は数量指数の前年同月比で10年2月の45.9%増をピークに、徐々に増加率を低下させ、4月までの40%台、5月の30%台の増加率から、6月27.5%増、7月25.5%増にまで下がっている。もちろん、2月の40%台の増加率と比較して低いといっても、6、7月の20%半ばの増加率はまだ非常に高いといえる。
その要因として、前年が大幅に落ち込んでいたことがある。底の09年2月は45.3%減で、この減少率は10年2月の増加率と見合っている。3月以降の09年の減少率と10年の増加率を比較すると、3月41.2%減と43.9%増、4月35.8%減と39.5%増、5月36.2%減と31.9%増、6月27.7%減と27.5%増、7月27.6%減と25.5%増である。
3、4月は10年の増加率が09年の減少率を上回ったが、5、6、7月はほぼ同じか、逆に下回っており、09年の減少率と10年の増加率を比較すれば悪化しているといえる。ある水準から減少した後、増加して元の水準に戻る場合、増加率は減少率より高くなる。2月以降の増加率は高くても不十分で、6月まで10年の輸出数量指数は08年を下回り、3月以降でも10%前後低い水準である。
輸出が回復から上昇へと向かうには、増加率が減少率を大きく上回り、10年の輸出数量指数が08年を超えていかなければならない。つまり、6月や7月の27.5%増、25.5%増がまだ高い増加率でも、前年水準が低い反動増で、回復が続いているとはいえない。むしろ、5、6、7月の増減率からは、回復してきた輸出に頭打ち傾向が出ていると判断できる。
地域別の6、7月は、10年6月の増加率が米国27.4%増、EU27.2%増、アジア26.6%増、7月が同様に27.7%増、31.6%増、22.9%増である。一方、09年6月が米国38.3%減、EU36.1%減、アジア19.1%減、7月がそれぞれ34.7%減、36.4%減、18.6%減である。各地域の両年の増減率比較から、金融危機の後遺症から米国、EUは息切れし、金融危機の影響が比較的軽微だったアジアはまだ回復・上昇基調にあるといえる。米国は景気対策効果の一巡、EUはギリシャ危機にみられる財務問題の影響が日本の輸出に波及しているということになる。当然、為替レートの円高の影響もあるが、これはこれから本格化することが予想される。
今後、アジアも米国やEUの影響が避けられず、アジアが輸出全体を牽引するのは難しくなると予測される。7〜9月期の実質GDP成長率は輸出の伸びが低下しても、民間最終消費の伸びで比較的高い成長率が予測される。そして、10〜12月期は輸出の伸びが一段と低下するのに加え、自動車需要減による民間最終消費が減少することから、実質GDP成長率はマイナス成長が予測される。これが景気後退に結びつくかどうかは輸出次第だが、輸出が短期的に再上昇することは期待できないため、このままでは景気後退の可能性が高い。それを避けるか軽微で済ますためには政策が問われるが、これも現状では難しい。
景気後退の要因の一つとして、2010年4〜6月期の実質GDP成長率(第1次速報)が前期比0.1%増に留まったことも挙げられている。これは家電エコポイント終了で民間最終消費が微減になった影響と考えられ、家電は改良品開発や眼鏡無し3Dテレビのようの新製品開発による需要開拓の余地があり、一時的現象で終わることは期待できる。それよりもその余地の少ない自動車補助金が遅くとも9月末で終了する影響の方が大きい。つまり、民間最終消費が自動車の駆け込み需要と猛暑効果もあって7〜9月期に回復した後、10〜12月期に顕著な反動減が見込まれる。
一方、政府や日本銀行が景気の現状に対してもまだ比較的楽観的なのは、政治的な判断を除けば、輸出がまだ比較的高い伸びをしていることにあると推測される。今回の景気回復は、内需では家電エコポイントや自動車補助金で個人消費が弱いながらもプラスを維持してきた。それよりも景気をけん引してきたのは外需で、中国・アジアを中心に輸出が急伸してきたことにある。これを受けて輸出産業の収益が改善し、民間設備投資にも動意がみえ始めてきた。
ところが、表面的には輸出の高い伸びが続いているように見えるが、早くも輸出に頭打ち傾向がみられる。輸出は数量指数の前年同月比で10年2月の45.9%増をピークに、徐々に増加率を低下させ、4月までの40%台、5月の30%台の増加率から、6月27.5%増、7月25.5%増にまで下がっている。もちろん、2月の40%台の増加率と比較して低いといっても、6、7月の20%半ばの増加率はまだ非常に高いといえる。
その要因として、前年が大幅に落ち込んでいたことがある。底の09年2月は45.3%減で、この減少率は10年2月の増加率と見合っている。3月以降の09年の減少率と10年の増加率を比較すると、3月41.2%減と43.9%増、4月35.8%減と39.5%増、5月36.2%減と31.9%増、6月27.7%減と27.5%増、7月27.6%減と25.5%増である。
3、4月は10年の増加率が09年の減少率を上回ったが、5、6、7月はほぼ同じか、逆に下回っており、09年の減少率と10年の増加率を比較すれば悪化しているといえる。ある水準から減少した後、増加して元の水準に戻る場合、増加率は減少率より高くなる。2月以降の増加率は高くても不十分で、6月まで10年の輸出数量指数は08年を下回り、3月以降でも10%前後低い水準である。
輸出が回復から上昇へと向かうには、増加率が減少率を大きく上回り、10年の輸出数量指数が08年を超えていかなければならない。つまり、6月や7月の27.5%増、25.5%増がまだ高い増加率でも、前年水準が低い反動増で、回復が続いているとはいえない。むしろ、5、6、7月の増減率からは、回復してきた輸出に頭打ち傾向が出ていると判断できる。
地域別の6、7月は、10年6月の増加率が米国27.4%増、EU27.2%増、アジア26.6%増、7月が同様に27.7%増、31.6%増、22.9%増である。一方、09年6月が米国38.3%減、EU36.1%減、アジア19.1%減、7月がそれぞれ34.7%減、36.4%減、18.6%減である。各地域の両年の増減率比較から、金融危機の後遺症から米国、EUは息切れし、金融危機の影響が比較的軽微だったアジアはまだ回復・上昇基調にあるといえる。米国は景気対策効果の一巡、EUはギリシャ危機にみられる財務問題の影響が日本の輸出に波及しているということになる。当然、為替レートの円高の影響もあるが、これはこれから本格化することが予想される。
今後、アジアも米国やEUの影響が避けられず、アジアが輸出全体を牽引するのは難しくなると予測される。7〜9月期の実質GDP成長率は輸出の伸びが低下しても、民間最終消費の伸びで比較的高い成長率が予測される。そして、10〜12月期は輸出の伸びが一段と低下するのに加え、自動車需要減による民間最終消費が減少することから、実質GDP成長率はマイナス成長が予測される。これが景気後退に結びつくかどうかは輸出次第だが、輸出が短期的に再上昇することは期待できないため、このままでは景気後退の可能性が高い。それを避けるか軽微で済ますためには政策が問われるが、これも現状では難しい。
| 2010年09月01日 |
景気 |
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