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第3次産業に期待できるか

 前回5月1日付の経済レポートで指摘したように鉱工業生産指数が先行ピークを回復する可能性は少ない。とすれば、日本経済が成長していくためには、供給面からみれば、第1次産業の農林水産業が日本経済を牽引することは考えられないため、第3次産業次第になる。

  鉱工業生産指数は200710月をピークに、2月のボトムまで35.1%減も減少し、逆に10年3月までにボトムから32.8%増と回復している。これを反映して、1013 月期の1次速報値は実質GDPで前期比1.2%増と4四半期連続のプラス成長になった。ただし、10年3月で先行ピーク比13.9%減でしかない。

 一方、第3次産業に関しても鉱工業生産指数と同様に、経済産業省が第3次活動指数として発表している。現在の指数は第3次産業の各産業の付加価値額から、07年を100として推計している。これによると、先行ピークは鉱工業生産指数に対して2カ月先行する07年8月の103.5(図は月ベースではデータが多過ぎるため、四半期にしている)になる。そして、ボトムは同様に1カ月遅行の09年3月の94.4になる。この間の下落幅は8.8%に留まる。


主要産業別第3次産業活動指数の推移
 

 逆に、10年3月は95.5、対09年3月比1.2%増でしかなく、対07年8月では7.7%減になる。鉱工業生産指数がボトムから10年3月まで下落幅の60.5%を回復してるのに対し、第3次産業活動指数は11.7%回復しているに過ぎない。ただし、3月の第3次産業活動指数は1月の98.8、2月の98.5から2カ月連続の減少であり、1月でみれば、46.8%の回復になる。

 鉱工業生産指数に比べて第3次産業活動指数の変動はかなり小幅だが、これは鉱工業の在庫変動による。第3次産業にも運輸業、卸売業などのように鉱工業の影響を受ける産業もあるが、サービス業のように生産と消費が直結し、在庫変動のない産業分野の比重が大きいことがある。

  産業構造の第3次産業化が言われ始めて30年以上経つが、全ての第3次産業が伸びているわけではない。例えば、先行ピークの07年段階でも、05年水準を下回る、つまり活動指数が100以下の主要産業は少なくない。不動産業や生活関連サービス業、娯楽業などがそうである。

 不動産業は長期的な不動産不況の影響を受け、生活関連サービス業、娯楽業は洗濯・理容・美容・浴場業、スポーツ施設、パチンコなどであり、好況時の07年でも所得が増えないなかで、消費者の生活防衛を反映している。

 一方、小売業は100前後で推移しており、所得が減少しても生活水準を維持するために、物財消費は行われている。これからみれば、小売業の不振がいわれても、個人消費関連産業の中では悪くはないといえる。

 そして、最近の景気回復下での第3次産業の中で回復が目立つのは運輸業と小売業である。運輸業は輸出主導による生産活動の活発化を受けていることから当然といえる。一方、小売業は百貨店、スーパー、コンビニなどの統計はいずれも長期に亘って前年水準を下回っており、小売業活動指数は矛盾しているようにみえる。

 最近、小売で売れ行きが好調なのは景気対策、環境対策から政策綿から支援を受けている家電や乗用車である。これらは専門店による販売が主であり、百貨店、スーパー、コンビニなどの統計に反映しないため、矛盾しているわけではない。ただし、これもいつまで政策効果があるか、また政策が打ち切られれば、反動減が予想される。

 結局、輸出増からの波及だけでは第3次産業活動指数の回復力にも限界がある。第3次産業のなかで全体を牽引するような産業は見当たらないため、個人消費が回復しなければ、第3次産業が日本経済を牽引して回復、成長しているには力不足ということになる。



※第1回から第10回までの内容をPDFファイルしたレポートも提供中です。PDFファイルにて経済レポートを入手した方は、こちらをどうぞ。

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| 2010年05月31日 | 政策 | comments(0) | - |
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