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現在のデフレ議論は過剰反応

 経済協力開発機構(OECD)が日本の消費者物価は2009年から3年間のマイナスが続く日本経済のデフレ予測を発表した。また、菅直人副総理兼経済財政担当相が日本経済はデフレ状況にあるとの認識を表明したことで、日本経済のデフレに関する議論が急速に高まっている。ただし、政治家の菅氏は「政府としてのデフレ認識を日銀に伝えたい」としてるので、日本銀行に金融緩和圧力を掛ける目的もみえるため、デフレを確信していると断定はできない。

 


物価上昇率(前年同期・月比)の推移
 統計では、消費者物価指数が7月から10月まで4カ月連続で前年同月比で2%台のマイナスの伸びが続いている。また、GDP統計は7〜9月期の実質成長率が第1位次速報値で4〜6月期の前期比0.7%増から同1.2%増と2四半期連続プラス成長で、かつ成長率を高めたが、名目GDP成長率は7〜9月期も同0.1%減になり、6四半期連続のマイナス成長を記録している。GDPデフレーターがマイナスになっているためで、このような統計結果も日本経済がデフレとする判断材料になり、デフレスパイラルによる景気のスパイラル的な景気の落ち込み懸念を表明する専門家もいる。

 デフレは単に「物価の持続的下落」と「景気後退に伴う物価の下落」を指す場合の両方がある。後者であれば、景気は回復傾向にあるため、デフレではなくなる。このため、日本経済は回復していても回復力が弱く、「物価が持続的に下落」している現状をデフレとしている。その定義からすればデフレになるが、物価の下落要因を考える必要もある。というのは、家電製品に代表される、技術革新と急速な需要・生産の拡大による価格値下がりもあり、この場合はデフレとはいわない。もちろん、不況による購買力の低下で、メーカーが製品価格の値下げをより強めていることはある。

 デフレ論が高まってきた要因に5月頃から消費者物価の下落が目立つようになり、それが7月から前年比2%台のマイナスになって現れてきたことがある。日本は食料をはじめ原材料を輸入に頼っているため、消費者物価は国際商品市況や為替レートの影響を受けやすい。その場合、国際商品市況や為替レートの影響は先ず輸入物価に反映し、それらの原材料が製品になって国内企業物価に転嫁され、最後に消費者物価へと波及していく。

 また、日銀の輸入物価には契約通貨ベースと、円ベースがあり、契約通貨ベースはドル立てが多く、国際商品市況変化が直ぐに現れ、円ベースはそれに為替レートの変化が加わる。前年同月比で契約通貨ベースは世界不況の影響を受けて08年12月からマイナスになり、09年1月には10%台の2桁台、4月からは20%台のマイナスの伸びで、10月は17.3%減である。

 それに為替レートの円高が加わり、契約通貨ベースより1カ月早く08年11月に前年同月比でマイナスになり、早くも12月には20%台、6月からは30%台のマイナスの伸びで、10月は同23.4%減で、契約通貨ベースよりも10ポイントほどもマイナス幅が大きいが、いずれも10月はマイナス幅が縮小している。この間の円高は08年9月までの1ドル=100円台半ばから、10月には90円にまで進んだ影響である。 国内企業物価は09年1月から前年を下回るようになり、7、8月は前年同月比8.5%減、9月は同8.0%減、10月は同6.7%減となっており、マイナス幅は輸入物価を反映して小幅でも縮小傾向がみられる。

 これからみると消費者物価指数の2%台のマイナスの伸びは海外要因による可能性が高く、最近のデフレ強調は過剰反応といえる。デフレスパイラルまで主張するのは、物価下落現象だけをみて、その要因をみない意見である。輸入物価、国内企業物価の動向から消費者物価のマイナス幅は縮小していくことは期待できる。もちろん、消費者物価指数が短期的にプラスになることまでは予測できない。物価がマイナスであればデフレという定義を前提にしても、景気が直ぐに一段と悪化する状況ではない。それでも、物価のマイナス状態は景気が正常ではないわけで、また、為替レートの円高が一段と進む気配もあり、政策的な支援が必要な事態であるという認識は当然である。


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| 2009年12月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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