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労働市場の急速な悪化下の雇用対策

 民主党政権が成立し、民主党の政策では八ツ場ダムの建設中止、子ども手当、温室効果ガス削減などに注目が集まっているが、国民生活が第1とする民主党であれば、経済政策で急がれるのは雇用対策になる。というのは、すでに景気回復に入っているにもかかわらず、雇用の悪化が急速だからである。


 景気は2009年2月が底と判断してほぼ間違いないが、そこから5カ月経った7月の完全失業率(季節調整値)は前月を0.3ポイント上回る過去最悪の5.7になった。また、有効求人倍率(同)は前月を0.01ポイント下回る0.42倍で、3カ月連続の過去最低記録の更新である。通常、完全失業率や有効求人倍率は翌々月の末頃に発表されるが、8月の数字は9月末ではなく、10月初めになっており、このレポートの作成時は7月が最新の値になる。



完全失業率の景気の底からの推移
 労働需要は景気に遅行し、景気より労働市場の底入れが遅くなるのは特別なことではない。つまり、景気の底入れ後に労働統計が悪化しているというだけでは、労働市場を特に悪いとはいえない。このため、完全失業率が景気の底から何カ月後に、どこまで上昇してピークを打つか、過去の例と比較検討することで、現状を評価する。


 80年以降の5回の回復期と比較すると、今回の雇用悪化の速度は過去に例がない。〃糞い猟譴83年2月だった時は、完全失業率は2月の2.7%から6カ月後の2.8%がピーク、底が86年11月では、11月の2.8%から6カ月後の3.1%、D譴93年10月では、10月の2.7%から10〜12カ月後の3カ月連続の3.0%、つ譴99年1月では、1月の4.5%から5〜6カ月後の2カ月連続の4.8%、ツ譴02年1月では、1月の5.2%から5カ月後と7カ月後の5.5%、となっている。


 これら過去5回の例では、全体として完全失業率は景気底入れ後も上昇し、景気の底から5カ月から12カ月後がピークになる。今回が景気の底から5カ月後の7月まで完全失業率が増え続け、まだピークが確認できなくても、ピークを打つのが特別、遅いわけではない。


 それよりも、過去5回の完全失業率は景気の底からピークまで、毎月の推移が微増、横這いの推移以外に、一時的でも微減もある。結果、ピーク水準は景気の底時から0.1〜0.3ポイントの上昇にとどまっている。0.1ポイントは83年2月が底のときだけで、0.3ポイントの上昇が多い。


 ところが、今回の09年2月の完全失業率は4.4%で、前回の02年1月はもちろん、前々回の99年1月よりも低い水準にあった。長期にわたる景気上昇の効果だが、その後の上昇が顕著になる。毎月、前月を上回り、何月がピークになるかは不明だが、すでに7月までの5カ月間の上昇は1.3ポイントにもなり、過去とは比較できないほどの悪化である。この状況は有効求人倍率でも同様である。


 就業者数を産業別でみると、原数値しか分からないが、7月の前年同月比で建設業、製造業などの減少が目立っている。建設業は不況対策で前政権が公共投資を増やしていても、民間需要が減少していることから考えれば、不思議ではない。一方、製造業の生産は大幅に落ち込んだ後、急回復しており、就業者数の減少は矛盾しているようにみえる。


 昨年末頃、製造業で派遣労働者、契約労働者などの首切りが行われ、注目を集めたが、引き続いて正規労働者の減少が続いていると推測される。生産が急回復しても、まだ水準は低く、企業は雇用過剰と判断し、雇用の削減を進めていることを示している。それでも、生産回復が進展すれば、雇用の減少に歯止めが掛かることが期待できる。


 民主党の雇用政策では、最低賃金の値上げと派遣労働の規制がいわれている。景気が底入れしたといっても、企業の不況感が強く残っている状況では、最低賃金の値上げは雇用削減になる可能性が高い。値上げは景気回復感が広がってからが望ましい。


 一方、派遣労働規制に関しては、規制すれば国内から海外への工場移転が加速され、雇用が減少するだけという批判が強い。しかし、既に海外に移転する工場は出ているので、加速されるというのは考え難い。内需の安定的な拡大の観点からすれば、規制は望ましい。それでも、効果が現れるのは企業が雇用増に踏み切ってからになる。


 いずれも中・長期的な雇用政策になり、現状の雇用の悪化対策にはならない。また、グリーン・ニューディールのような新産業育成はさらに長期の政策になる。短期的には給付金付きの職業訓練の拡大のほか、失業対策事業による雇用のような直接的な雇用政策が必要になる。


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| 2009年10月01日 | 雇用 | comments(0) | - |
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