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長梅雨・冷夏の景気への影響

 今春、東太平洋の赤道付近で海水の温度が上昇するエルニーニョが発生したことから、夏の天候が心配されたが、梅雨明けは九州南部が平年より1日遅れの7月12日、関東甲信が同6日早い14日になったようだと各地方の気象台が宣言した。このため、例年並みの夏の天候が期待されたものの、その他の地方は遅れ、ようやく31日に四国、そして8月になって3日に近畿、東海、4日に九州北部、北陸、中国で梅雨明け宣言が出た。東北は梅雨明けが記録されなかった。


 梅雨明け宣言が例年より早かった関東甲信は宣言後も天気はぐずつき、九州南部もしばらくは晴れの夏空が続いたが、7月下旬には再度、梅雨空に戻っている。実態は九州南部、関東甲信も含めて、全国的に梅雨明けが遅れ、冷夏になった。



2002〜03年のGDPと民間最終消費(前年同期比)の推移
 最近では2003年がエルニーニョが発生し、長梅雨・冷夏だった。この年の梅雨明けは九州南部7月22日、関東甲信8月2日で、今年の実質的な関東甲信の梅雨明けは03年より遅いといえる。また、四国は今年と同じ7月31日で、東北は今年同様、梅雨明け日が無かった。ちなみに、各地方の梅雨入りは今年、03年のいずれも例年と数日の差でしかなく、大きな差はない。


 長梅雨・冷夏の景気への影響は、夏のレジャー、季節商品の家電のエアコン、扇風機、食品・飲料の冷菓、清涼飲料などの消費を抑制する。また、野菜の生育・供給不足から生鮮食品価格が上昇し、消費者物価の値上がりをもたらす。結果、民間最終消費支出、ひいては景気にマイナスに働く。ただ、今年は物価が値下がり傾向にあるため、物価全体でみれば景気への影響は軽微と考えられる。


 一方、ビアガーデン、プール、海水浴場が閑古鳥、ビール売り上げがが前年比大幅減というような季節商品・サービスの需要動向はは話題性があり、マスコミが取り上げる傾向にある。このため、心理的に景気を冷やす効果が無視できない。これは7〜9月期のGDPの統計に反映されが、速報でも発表は11月になる。


 このため、長梅雨・冷夏であった03年のGDP統計から影響を推測する。通常、GDPはその時々の景気動向が明確になることから、季節調整値の前期比が使われる。しかし、夏需への影響は7〜9月期同士で比較する方が、天候要因を反映して比較できるため、前年同期比の推移をみる。


 当然、前年の天候が問題になる。02年の夏は東日本から西は猛暑の一方、北日本では一部で冷害になり、日本全体として均してみれば通常の夏と判断できる。また、景気は02年1月に底入れし、03年は輸出主導による回復・成長過程にあった。


 03年1〜3月期から1年間の4半期の推移は、名目民間最終消費支出(個人消費)の成長率は0.1%減、0.8%減、1.2%減、横這いとなっており、7〜9月期の減少が目立っている。一方、この間の名目GDP成長率は1.2%減、0.1%増、0.1%減、0.3%増で、GDPへの打撃も小さくない。


 また、実質では、個人消費の推移は0.9%増、0.2%増、0.4%減、0.9%増になる。物価が下落している効果で、名目の伸びを上回るが、7〜9月期の落ち込みは顕著である。GDPでは1.3%増、1.3%増、1.1%増、1.9%増となっており、輸出主導でプラス成長を維持していても、7〜9月期の屈折は明らかである。


 03年7〜9月期は02年7〜9月期の個人消費が天候にも恵まれ、比較的良かった反動減の面もあるが、長梅雨・冷夏の景気への影響は明らかといえる。既に、話題性からマスコミが夏需の不振を取り上げ、景気への影響を強調し始めており、不安が高まる懸念はある。


 しかし、天候要因は一時的なものであり、03年のように10〜12月期には持ち直しが期待できる。そのためには、03年もそうであったが、輸出の回復傾向の持続が条件になる。現状は、中国、米国、なかでも最大の輸出市場である中国は政策効果で景気回復傾向にあり、輸出の回復が続くと予測される。GDP成長率が7〜9月期に中折れしても、10〜12月期には盛り返しが期待できる。


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| 2009年09月01日 | 政策 | comments(0) | - |
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