スポンサードリンク

景気の谷(ボトム)は2月、課題は回復力

 景気の山(ピーク)を内閣府が暫定的に2007年10月になったと発表した。景気循環の最終決定は谷(ボトム)の決定と同時に行われるため、暫定となっているが、最終決定と同じである。山が決まれば、次は谷の時期に注目が集まる。


 不況は長期化が予想されていたが、この2月が谷になりそうである。3月の鉱工業生産指数が前月比1.6%増になり、4月の速報が5.2%増の大幅増で、製造工業生産予測指数も5月8.8%増、6月2.7%増と大幅増が続く見通しである。前月の4月の予測指数は4.3%増、5月予測指数6.1%増であったので、生産回復スピードは予想以上といえる。もし今後、反動減があっても、2月水準を下回ることは予想されないため、2月が底になる。下回るようなことがあれば、日本経済は底なしの事態になる。



景気の山谷と後退期間
 景気の山谷は総合的に判断するとされているが、景気循環は在庫循環によるため、実際は鉱工業生産指数で決まり、2月が谷と判断される。景気の谷が2月になれば、第2時大戦後14回目の今景気循環の景気後退期間は16カ月になる。過去の景気後退期間と比較して、高度成長期までを別として、特に長いわけではない。第8循環の9カ月、前回の第13循環の14カ月に次ぐ短期間で済み、平均的かむしろ短いといえ、予想以上に早期に終了したことになる。

 ただし、景気後退期間が短いことは評価できるが、その要因が需要の予想以上の回復にあるわけではない。かつてない大幅減産効果で、在庫調整が急速に進展したことにある。このため、評価は微妙になる。つまり、その一方で、例えば雇用問題を深刻化させ、4月の完全失業率は前月より0.2%増の5.0%、03年11月の5.1%以来の5%台になり、高水準になっている。

 また、3月、4月速報の鉱工業生産指数が急回復でも、4月の前年同月比ではまだ31.1%減の大幅減産である。ピークの07年10月の110.0(08年2月の110.1が上回るが、うるう年の特殊要因による)に対しては、まだ32.5%減である。景気循環で底を打って回復に転じたといっても、回復を実感できる状況ではなく、最悪期は脱したという程度である。

 生産は在庫調整が進んだことから、実需に見合った水準へと減産が緩和され始めた段階にある。今後も、増産が続くかどうかは実需の伸びによる。実需が急速でなくても、着実に拡大することで、生産が長期的に回復軌道を描き、景気回復を実感できるようになる。
 内外需の動向をみると、輸出は中国を中心とするアジア景気の回復で、穏やかでも底を打って増加が見込めるようになってきた。ところが、内需が特に、個人消費の冷え込みが一段と進みそうで、一方で、政府の額だけが巨大な水膨れの景気対策では、内需全体としてみれば、回復は期待できない。

 もともと、個人消費は景気に遅行するが、今回の雇用の急速な悪化、夏のボーナスの大幅減などから判断すれば、従来の景気後退期以上に厳しい。一方で、3月から消費者物価指数が前年同月比マイナスになっている。これは消費にプラス効果だが、雇用不安、個人所得減の影響の方が大きいと考えられる。また、物価の下落は原油、穀物などの国際商品市況がピークからの大幅下落もあるが、不況によるデフレ効果が大きい。消費者が消費抑制しているからで、この傾向が一段と強化される可能性が大きい。

 結局、景気回復が実感されるようになるには、輸出が顕著な回復になり、それが企業収益の顕著な回復を通して雇用増、個人所得の増加、民間設備投資の回復などへと波及する必要がある。雇用の改善には時間が掛かり、冬のボーナスも厳しそうで、回復の実感できるようになるのはかなり先になる。2月が景気の谷となったことで、一般的な景気実感とはずれが生じるが、実感と景気循環上の底入れ、回復との間に乖離が生じるのは通常のことである。前回の景気回復でもこの乖離現象が解消するまで長期間かかったが、今回も同じようになりそうである。


※第1回から第10回までの内容をPDFファイルしたレポートも提供中です。
 PDFファイルにて経済レポートを入手した方は、こちらをどうぞ。



コミュニティー・プランナーズホームページへ戻る
| 2009年06月01日 | 景気 | comments(0) | - |
スポンサードリンク

コメント
コメント投稿フォーム:
 上の情報を次回も利用する
Copyright (C) 景気の谷(ボトム)は2月、課題は回復力 | 経済への視点. All Rights Reserved.