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労働需給にみる今回の深刻度

 厚生労働省「一般職業紹介状況」の2009年1月の有効求人倍率(季節調整値)は06年12月の1.08をピークに下降傾向で、08年1月に求職者数が求人数を下回る0.99になり、09年1月は0.67まで減少している。この数字は2人の求人に3人の求職者がいることになる。求人数(季節調整値)は07年10月の景気のピークに先行して06年7月の232万人が最大で、09年1月は160万人、06年7月の31.0%減である。一方、求職者数は08年4月の201万人が底で、09年1月は240万人、08年4月の19.4%増である。


 今回の景気回復局面で、求職者数がなかなか減少せず、高止まり傾向にあったのは、正社員採用が少なかったことが挙げられる。現在、社会問題になっている派遣社員、期間雇用者の首切り問題は、景気回復期に正社員を雇用せず、非正規社員を雇用していた企業の雇用戦略にある。当然、就職希望者は安定職の正社員を望むが、不安定な職場しか無く、就職活動を続けることになるからである。


雇用形態別有効求人倍率の推移
 企業の雇用戦略から不況になれば、今日の事態をもたらすことは当然予想された。正社員の有効求人倍率は一般職業紹介状況が04年11月からしか発表されていないが、このときには派遣社員の製造業で規制緩和されていたので、規制緩和の影響はないと考えられる。原数値で正社員の有効求人倍率は04年11月の0.57から0.5〜0.6台で推移し、最も高かった06年12月で0.68でしかない。このときの全体は季節調整値でもピークになり、原数値では1.13である。09年1月の正社員の有効求人倍率は0.43であり、2人に1人にもならない。


 これも問題だが、今回の不況下での雇用での大きな問題は、パートタイムの労働需給の悪化にある。パートの中で比較的安定的な雇用になる常用パートタイムの労働需給(原数値)は全体が0.4〜0.5台の労働需給が最悪期であった98〜00年頃でも、1を下回ったのは98年6、7月の0.96、0.98、99年5〜7月の0.91、0.89、0.94の5カ月だけである。最低で99年6月の0.89でしかない。また、非常用のパートでは1を下回ったのは95年6月の0.94まで遡り、このときは同年5月の0.99と2カ月だけであった。ちなみに、このときの全体の有効求人倍率は季節調整値で0.63、0.62、原数値で0.58、0.57である。


 つまり、全体とパートの労働需給は乖離する傾向にあり、全体が低くても、パートは比較的高かった。もともと、パートは主婦が多いが、常用パートは夫が職を失ったときに、低額でも所得を確保できるセーフティーネットの役割もある。もちろん、夫、男が常用パートに就くこともある。つまり、不況期に失業者が増えた場合の雇用の受け皿としての役割が期待できる雇用になる。


 ところが、今回の労働需給悪化の中で、常用的パート(原数値)は06年2、3月の1.51をピークに全数より上でも、全数と同様の推移になって下降傾向にある。09年1月は1.01と1切れまでほんの少しまで下がってきた。全体の有効求人倍率は1月に0.67まで下がっているが、かつて0.4台、0.5台まで低かった経験から比較すれば、まだ高いといえる。しかし、常用パートが雇用のセーフティーネットすれば、これが早くも1を下回ることは、セーフティーネットの崩壊であり、今回の雇用悪化がそれだけ深刻ということができる。


 要因としては、今回の不況が輸出の急激な減少に目が向いているが、内需の不振が輸出減に先行してあり、輸出の減少が輸出産業を不況にし、それがさらに内需に打撃を与える構造にある。特に、パート労働との関係でいえば、パートは小売りや飲食などでの雇用が多く、これらの分野は個人消費の不振の影響を受けている。今までの個人消費の不振は増えない、つまり伸び率が非常に低いことであったのに対し、今回は減少にまで至っていることにある。


 結果、個人消費との関係が強いスーパー、大型店などが不振に陥り、経費削減からパートも最小限に抑え、これがパート雇用にまで波及している影響であろう。今までであれば、消費不況で小売業が不振であっても、不振の小売業の一方で、好況の小売業もあった。もちろん、今回も売上を伸ばしている小売業もみられるが、例外的ということができる。


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| 2009年03月01日 | 雇用 | comments(0) | - |
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