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米国経済の2007年12月ピークの要因

 少し古くなったが、全米経済研究所(NBER)が米国経済は2007年12月から後退局面に入ったと、昨年12月1日に発表したが、マスコミの扱いは悪く、あまり話題にはならなかった。昨年末頃は、リーマンショックなどで夏頃からいよいよ景気後退かと言われだした時であった。それ以前に景気が後退していたと発表されても、米国経済を専門としている人は話題にならないように、無視したのかもしれない。


 念のために書くと、米国経済は2四半期連続で実質GDP成長率がマイナスになると、景気後退というのは目安として一般的にいわれているだけで、正式にはNBERが決める。


原油価格(WTI)の推移
 08年1月1日のレポートでも取り上げたように、米国経済が丁度景気後退期に入った時、各経済専門機関が08年度の日本経済見通しを発表していた。すでに、07年春頃からサブプライムローンが問題になり始めていたが、各機関の見通しでは、米国経済はサブプライムローン問題はあっても軽微で済む。結果、米国経済は成長を続け、08年度の日本経済は景気後退の心配はないとしていた。各機関の米国担当者が米国経済は景気後退した、または近いと判断していれば、08年度は日本経済の景気後退が近いか、少なくとも厳しい見通しになったでしょう。


 ただし、サブプライムローン問題だけで景気後退になったのではなく、原油価格高騰の影響も大きかったと考えられる。原油価格に関しては、NYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、08年7月にバレル当たり147ドルのピーク値の印象が強いが、原油価格の上昇は03年頃からになり、当初は上昇とはいえまだ30ドル台で、高騰というほどではなかった。それが上下しながら40ドル台、50ドル台に切り上がり、徐々に加速が付いて07年末には100ドル近くにまで急上昇していた。


 米国は日本より原油価格の上昇率が製油製品に直に出やすい。というのは、先進国の石油製品の価格比較を掲載した資源エネルギー庁「資源エネルギー白書」の2008年版によると、WTIで74ドルと高価格になっていた07年6月の時点で、米国のガソリン価格はリットル当たりで0.703ドル、税金0.105ドルの計0.808ドルで、これに対し、日本はそれぞれ0.646ドル、0.497ドル、1.143ドルとなっている。もともとのガソリン価格は理由は不明だが、米国が高い。しかし、税金分は米国が大幅に安いため、税率は米国13.0%、日本43.4%と格差は大きい。それが安いガソリン価格を可能にし、ガソリンをがぶ飲みする燃費効率の悪い大型車やスポーツ車を乗り回せる環境にしている。ガソリンだけでなく、米国は石油消費大国である。


 自動車用の軽油はガソリンほどではないが、やはり米国は安い。税金が安い分だけ、元の原油価格の上昇率に製品価格の上昇率が近くなり、物価への波及も大きくなる。原油、石油製品の価格高騰の影響で、米国の消費者物価の前年比上昇率は07年9月までは2%台だったが、10月には3%台、11、12月は4%台への加速傾向にあった。米国人の物価の実感はもっと高いでしょう。これが消費にも影響するのは当然で、要は軽いか重いかの違いである。


 07年10〜12月期の米国の実質GDP成長率は前期比0.2%減のマイナス成長を記録している。ただ、この時は前の2四半期が連続で比較的高い成長率であったため、一時的と考えられていた。ところが、その中身は消費の伸びは低く、外需の好転で成長していただけである。結局、サブプライムローン問題と原油価格上昇の影響度合いは分からないが、消費はそれなりに影響を受けていたことになる。


 事実、日本からの対米輸出も輸出数量指数で07年には前年比マイナスになっていた。それが中国やEUなど向けの輸出が伸びて、輸出全体が伸びていたことで表面化しなかっただけである。このことは07年7月1日のこのレポートで指摘していたが、このことを各機関の米国担当者が認識していれば、米国経済にそう楽観的にはならなかったのではないか。要するに、雰囲気に惑わされず、冷静な分析が必要ということになる。


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| 2009年02月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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