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何に景気回復を期待するか

 景気後退が経済指標で確認されるようになってきたところに株価が暴落し、「景気は底堅い」というような意見は政治的な発言以外、聞かれなくなった。景気が後退局面入りが認められば、景気が底入れし、回復する要因は何かに議論が移ることになる。前回の景気後退と回復の要因を参考に、今後の景気回復の条件を考えたい。


 前回の景気循環は2000年11月をピークに景気後退局面に、02年1月をボトムに景気回復、上昇局面に入り、7年間ほど上昇を続けてきた。00年11月にピークなった要因をGDPの需要項目でみると、実質GDP成長率(前期比)の10〜12月期は1.0%増と比較的高かったが、続く01年1〜3月期0.4%増、4〜6月期0.6%減と急速にGDP成長率が低下した。


主要需要項目別実質GDP成長率の推移
実質GDP成長率低下の要因は輸出で、輸出は00年7〜9月期まで増加していたが、10〜12月期に0.6%減と微減ながらマイナスになった。その後は2四半期連続で3.7%減と減少傾向が強まり、10〜12月期まで5四半期連続のマイナス成長であった。GDP成長率も10〜12月期まで3四半期マイナス成長が続いた。


 従来であれば、不況に対しては景気対策で公共投資(公的固定資本形成)が増えるが、財政再建を優先していたため、公共投資の抑制が続けられた。公共投資は01年1〜3月期に一時的に増加しただけである。結局、輸出が02年1〜3月期に5.2%増と一転して急増したことで、景気は02年1月をボトムに回復に転じた。


 00年末からの輸出の減少は、00年にITバブルが崩壊し、米国の景気が悪化したことで、対米輸出が減少したことよる。逆に、米国の景気が回復し、輸出が増加に転じたことで景気も底入れした。


 ところが、今回は6月の建築基準法改正の影響で民間設備投資、民間住宅建設が減少し、民間最終消費が7月の天候不順で冷え込んだため、7〜9月期まで内需は低迷し、実質GDP成長率は2四半期連続でほぼゼロ成長になった。そして、10〜12月期はまだ建築基準法改正の影響が残っていても、民間最終消費が持ち直したことで、実質GDP成長率は安定成長といえる0.6%増になった。この頃から、企業収益の頭打ちで民間設備投資が伸び悩み傾向になり、住宅ローン金利の上昇、地価と建材の値上がりによる住宅価格上昇で、住宅需要が冷え込み始めた。結果、建築基準法改正の影響が一巡しても、繰り延べられた建築需要の復活力は喪失してしまった。


 08年1〜3月期は民間最終消費が0.7%増の比較的高い伸びになったこともあって、実質GDP成長率は10〜12月期に続いて安定成長の0.7%増になった。安定成長路線に復帰したようにみえるが、実態は2月の閏年効果である。特に、閏年の1日分が民間最終消費を膨らませる効果は大きい。


 当然、4〜6月期はその反動で実質GDP成長率は0.7%減と、01年7〜9月期の1.1%減以来の大幅マイナス成長になった。民間最終消費の0.6%減のほか、民間企業設備、民間住宅など内需項目はいずれも減少である。加えて、輸出が1〜3月期までの増加から、4〜6月期に2.6%減と減少したこと影響も大きい。


 前回の景気循環は輸出で説明できるのに対し、今回は建築基準法改正の政策要因、天候要因など一時的要因の影響も含めて、内需不振で景気が後退傾向にあったところに、輸出の減少が景気後退を決定的にした。


 これからの景気回復の契機として、内需の民需はプラス要因は見当たらない。継続的な大幅な減税があれば別だが、その他の政策で刺激しても収益、所得が増えなければ、投資、消費支出が増えることは予想できない。また、公共投資は今回も本格的な政策転換がない限り、景気を牽引するだけの大型投資は行われないであろう。


 結局、今回の景気後退は輸出が主因とはいえないが、景気回復は前回同様、輸出に期待するしかない。ところが、金融危機の根は深く、米国不況は長期化が避けられないため、日本の輸出も回復が遅れることになる。アジアへの輸出は増えるとしても、アジアも米国の影響が避けられず、伸び率は低下し、輸出全体を牽引するのは難しい。不況の長期化が避けられない状況にある。


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| 2008年11月01日 | 景気 | comments(0) | - |
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