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2020年度の経済成長率は3年連続で低成長の見通し

 2018年度の日本の実質GDP成長率は0.3%増に留まり、17年度の1.9%増から回復が中断した形になった。15年度までの3年連続の2%台成長から16年度に0.7%増へとブレーキが掛かり、17年度は持ち直したが、18年度は12年度の0.1%増以来の低成長である。

 一方、各民間予測機関の1年前の19年度経済見通しにおける18年度実績見通しは、世界経済の成長鈍化を受けて実質0.6〜1.0%増と減速を見込んでいた。ところが、成長鈍化判断は間違いではなかったが、現実はより厳しい結果になった。世界経済の影響による輸出の伸びの鈍化を大きくは見誤らなかったものの、GDPの過半数を占める個人消費(民間最終消費支出)が0.1%増とほぼゼロ成長になった影響が大きい。18年度の個人消費実績見通しを各民間予測機関は0.5〜0.7%増と控えめにしていたが、実績はその伸びをさらに下回ったからである。

 1年前の実績見通しは年度上期の2四半期、半年分の実績を踏まえた結果であり、18年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の実績は0.8%の上昇になったのに対し、実績見通しの上昇率は0.8〜1.0%増とGDPの個人消費より乖離は少ない。また、18年度中は雇用環境も大きくは変化していないため、結局、消費者の将来不安の高まりで、消費抑制が強くなるのを読めなかったといえる。

 18年度の実績を踏まえたことで、今回の19年度の実績見通しと20年度見通しでは、18年度に見られた消費不振が考慮された個人消費見通しになっている。前回の19年度見通しでの実質GDP成長率0.7〜1.0%増に対し、今回の19年度実績見込みは0.8〜1.0%増とほとんど変化はない。ところが、個人消費は同様に0.3〜0.7%増から0.1〜0.5%増に下方修正され、低い方のニッセイ基礎研究所やみずほ総合研究所の0.1〜0.2%増は低迷状態が続く予測になる。それでも、19年度の課題になる消費税増税の影響は引き上げが2%と小幅で、消費税対策の効果でその影響は少なく、景気の悪化による所得の伸びの鈍化が下方修正要因として挙げられている。

 一方、世界経済の成長鈍化傾向が明確になり、日本の輸出に波及している。影響が大きいと考えられる米中貿易摩擦問題の交渉内容は明確ではないが、日本の輸出動向からみると中国経済の変調が顕著になり、その影響がアジア地域に広がっていると推測できる。いずれにしても、対中国輸出を中心に輸出全体が減少基調にあり、前回の19年度実績見込みの輸出は高くても3.3%増と穏やかな増加の見込みだったが、いずれもプラスの増加見通しであった。ところが、今回の輸出実績見込みは0.9〜1.7%減のマイナスに見直されている。

 個人消費や輸出が下方修正されているにもかかわらず、19年度の実質GDP成長率実績期見込みが変化していないのは、公共投資(公的固定資本形成)にある。公共投資は前回の0.2〜2.9%増、多くは0%台の増加から、今回は3.1〜3.5%増へと上方修正になったためである。つまり、政府は景気は穏やかに回復を続けているとしている裏で、名目は災害対策であっても景気対策から公共投資で景気対策を行っていることになる。

 18年度は実績と前回の実績見込みの乖離が顕著な年になったが、19年度が同様の事態になる可能性は少ないと考えられる。GDPで比重の大きい個人消費の実績見込みは既に低くなっており、マイナスでも1%に近い減少にならなければ、GDP全体に影響するほどの引き下げ効果を持たないからである。当然、最近の景気動向からは逆のプラス効果になる環境にはない。その他の主要項目は個人消費より金額が少なく、かつ高い伸び率を予測していないため、GDPに大きく影響する要因にはならない。

 GDPの成長率が大きく変化する場合で考えられるのはバブルの崩壊である。日本の株価はピークを打っているが、世界的な金融緩和で地価や株価が高騰しており、その発生の可能性を懸念する専門家は多い。ただし、その発生を予測できても時期は不可能である。当然、20年度見通しではその事態は想定せず、米中貿易問題は今後も続くとしても深刻な問題にならないとして、世界経済は持ち直し、日本の輸出はプラスに転じるが、低い伸びに留まる見通しで一致している。

 20年度の実質GDP成長率を政治的に決める政府の1.4%増は別として、民間の予測機関は日本総合研究所の1.0%増以外は0.5〜0.6%増で一致している。日本総研とその他の機関が乖離しているように見えるが、日本総研は公共投資をはじめ個人消費、民間設備投資、民間住宅投資など各需要項目の伸び率が少しずつ高目の見通しから、それらが合わさって全体として1.0%増になっている。両者間で日本経済に対しての見方が基本的に異なっているわけではない。

 そのなかで、主要項目で格差が目立つのは個人消費で、日本総研が20年度も19年度と同じ0.5%増と横ばいの伸びをしている以外は、20年度の伸び率は19年度を下回る見通しである。なかでも、20年度の三菱総合研究所は0.1%減のマイナス成長である。最近の人手不足状態の解消までは至らなくても、この経済レポートで指摘しているように労働市場は緩和の傾向にあり、かつ、企業収益の頭打ちと労組側の姿勢から判断して、来春闘の賃上げ率は低下する見通しである。収入が増えない環境では個人消費の増加は期待できない。

 ただ、三菱総研の個人消費がマイナス成長になる要因として消費者物価(生鮮食品を除く総合)上昇率が、他予測機関の20年度は19年度の横ばい、または低下しているのに対し、逆に0.8%増から1.1%増へと0.3ポイント高まる見通しになっていることが挙げられる。人件費の上昇率が低下し、為替レートが1ドル=108円から106円へと僅かでも円高になる見通しのなかで、物価上昇率が高まるとすれば、国際商品市況の上昇になる。しかし、世界経済の回復力が高まらない見通しの下では、穀物の不作が考えられるが、そのような事態は予測し難い。20年度の消費者物価上昇率が19年度の横ばい、または低下になれば、三菱総研の個人消費も他と同様に低い伸びのプラス成長になると考えられる。その場合、実質GDP成長率見通しは0.1〜0.2ポイント高まる。

 いずれにしても、20年度は世界経済が予想以上に力強い回復になり、輸出主導の成長が実現しない限り、以前の実質GDP成長率の2%成長はほど遠く、3年連続の低成長見通しになる。

2020年度の経済見通しの主要項目別一覧

JUGEMテーマ:経済全般

| 2020年01月06日 | 景気 | comments(0) | - |
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