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外国人労働者では留学生の「資格外活動」による就労が高い伸び

 人口、ひいては労働力人口の減少が始まり、労働力不足の深刻化が言われているが、現実にはこの前回のレポートでみるように、就業者数は微増で推移している。女性や高齢者の就業が増えているためで、就業を希望する人が性、年齢に関係なく働けることは評価できる。その一方で、高齢者の就業増は労働生産性からみれば懸念がある。また、当面は女性や高齢者によって労働力不足を何とか補えるとしても、いつまでもこの状態が維持できるわけではない。

 となれば、外国人労働力の導入を考える必要があるが、短期滞在の観光客としては歓迎しても、長期滞在、さらには定住する労働力としての外国人に対しては、治安の不安から反対する国民は少なくない。また、安倍首相を支持する右翼的な人は日本の伝統が崩壊する懸念から反対しており、当面は実現可能性は低いと考えられる。

 現在の外国人労働者の在留資格には専門的な能力を持つ「専門的・技術的分野の在留資格」、外国人技能実習制度による「技能実習」、留学生による「資格外活動」、戦前からの在日朝鮮・韓国人の永住者とその配偶者、日本人配偶者、日系人などの「身分に基づく在留資格」、数は少ないがワーキングホリデー、外交官等に雇用される家事使用人等の「特定活動」の5種類がある。

 技能実習はもともと技能を取得して本国に貢献するための制度で、資格外活動は学生アルバイトになり、生産性の高い労働者にはならない。一方、専門的・技術的分野の在留資格は生産性が高い可能性はある。また、身分に基づく在留資格は多様な労働者が混在していると考えられる。

 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」が現在に統計になった2008年から16年(各年10月末時点調査)までの8年間の推移をみると、全体では92.6%増である。在留資格別では、08年は技能実習と特定活動が分けられていなかったため、この2つは合計する。専門的・技術的分野の在留資格100.4%増、技能実習・特定活動1004.7%増、資格外活動147.2%増、身分に基づく在留資格163.2%増などとなっている。全体では8年間で2倍ほどになり、その中で就労による収入を目的とする留学生の増加が目立っている。一方、2000年代に入って移民の多いブラジルの経済発展と日本の不況で、日系ブラジル人のブラジルへの帰国が多かった影響で、定住者の身分に基づく在留資格の伸び率は低い。

 ただし、人数は16年で全体108.4万人中、41.3万人、38.1%と4割近くが身分に基づく在留資格になる。これに対し、専門的・技術的分野の在留資格20.1万人、全体の18.5%、技能実習・特定活動22.0万人、同20.3%(うち技能実習21.1万人が圧倒的に多く、同19.5%)、資格外活動24.0万人、同22.2%といずれも20万人強に留まる。

 8年間で2倍近い伸びは年率では10%近い伸びになり、外国人労働者は急増しているといえる。しかし、前回のレポートにみるように、16年の日本の就業者数の約6,500万人と比較すれば、この108万人に統計から外れている違法な外国人労働者が少なくないとしても、それを加えても就業者全体のせいぜい2%ほどでしかなく、全体の生産性に影響を与えるような存在ではない。

 特に、日本の経済発展、生産性向上に貢献が期待される専門的・技術的分野の在留資格は外国人労働者全体の伸びを若干上回る程度の増加で、今後に期待するとしても、現状からみればかなり先になる。ちなみに、16年の産業別外国人労働者数の産業別では、製造業が突出して多く、33.9万人、31.2%、以下、卸売・小売業13.9万人、12.9%、宿泊・飲食サービス業13.1万人、12.1%、教育・学習支援業6.0万人、5.5%、情報通信業4.4万人、4.0%などとなっている。

 これに対し、同様に専門的・技術的分野の在留資格は情報通信業が最も多く、3万3,656人、16.7%、以下、製造業3万994人、15.4%、卸売・小売業2万8,536人、14.2%、教育・学習支援業2万5,269人、宿泊・飲食サービス業1万3,065人、6.5%などである。

 外国人労働者の雇用は相対的にみて、製造業は技術者、研究者よりも製造部門が中心で、情報通信業はIT部門の技術者の採用が中心で、専門的・技術的分野の在留資格が突出して多い。また、卸・小売業は輸出入業務、訪日観光客への販売、教育・学習支援業は外国語教師に語学専門家として採用していると考えられる。

 生産性が高い専門的・技術的分野の在留資格の外国人労働者の拡大が課題とすれば、優秀な人材を巡って国際獲得競争の中で、彼らが来たいと希望する国になることが必要になる。その選択の一つに自由と民主主義があると思うが、この点で問題が大きい。

 国際的な評価の国際NGOの国境なき記者団(本部・パリ)による2017年の報道の自由度ランキングで、調査対象の180カ国・地域のうち日本は前年と同じ同じ72位、イタリア(52位)を下回り、主要国7カ国(G7)で最下位になった。また、政府が成立を急いでいる共謀罪に関して、国連人権理事会のプライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が、いわゆる「共謀罪」法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と懸念を表明している。国連の最終報告書ではないが、国連組織の責任者の表明だけでも、自由と民主主義の国としての評価を引き下げることになる。広い視野での政策の検討が必要な時代である。

図 在留資格別外国人労働者数 

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| 2017年06月01日 | 雇用 | comments(0) | - |
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